ニュース速報

ビジネス

FRB当局者、景気回復になお自信 雇用は不安定な動きも

2021年05月12日(水)05時44分

FRBのブレイナード理事は、4月の雇用の伸びが予想を大きく割り込んだことを受け、景気回復が完全に軌道に乗るよう量的緩和の縮小を忍耐強く待つことの意義が浮き彫りになったという考えを示した。写真は2017年、マサチューセッツ州ケンブリッジで撮影(2021年 ロイター/Brian Snyder/File Photo)

[ワシントン 11日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者らは11日、4月の雇用統計が予想外に弱かったことを受け、引き続き米経済の回復に自信を示す一方、雇用の伸びは予想外に振れが大きくなる可能性もあると認めた。

ブレイナード理事は、景気回復が完全に軌道に乗るよう量的緩和の縮小を忍耐強く待つことの意義が雇用統計で浮き彫りになったと表明。「労働の需要と供給がともに改善に向かっているものの、それぞれが異なるペースで回復しており、食い違いが生じる可能性がある」と述べた。

さらに「新型コロナウイルスへの感染や公共交通機関の利用に対する懸念が根強いほか、学校の再開を待ち望んでいる親御さんも多い」中で、改善への動きは断続的な域にとどまっており、回復が一段と完全なものになるまで金利と資産買い入れを維持するというFRBの「忍耐強い」姿勢は正当化されると強調した。

また、資産価格の値上がりを理由にFRBが金融刺激策を制限した場合、雇用創出には逆効果になりかねないという考えを示した。

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、利用可能な託児所の不足や学校の閉鎖、公衆衛生リスクへの懸念が労働供給を圧迫しており、4月の雇用の伸びを抑えたと分析。「失業給付の延長により、人々に経済的に余裕が生まれ、再就職の是非を選択することができるようになったのは事実だが、失業給付そのものが問題を引き起こしているわけではない」とし、「雇用はなお拡大しており、見通しは明るい」と語った。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は、公衆衛生上の懸念と不十分な子育て支援のほか、産業部門ごとに回復が一様でないことが米労働市場の緩慢な回復の背景にあるとし、FRBは景気支援を継続する必要があると確認。ワクチン接種を受けることをちゅうちょする動きのほか、新たな変異ウイルスの出現が経済に対するリスクとして台頭する可能性があると述べ、「経済情勢は改善しているが、回復はまだ途上にあり、景気支援策を引き揚げる理由はまだ見当たらない」と結論付けた。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は、米経済がインフレ押し上げと人材の採用難につながっている一時要因を乗り越え、来年は一段と強固な状態になると希望を持っていると表明した。

セントルイス地区連銀のブラード総裁は、インフレ高進の兆候について、FRBが懸念する水準には程遠く、むしろFRBの金融政策が奏功していることを示すもので歓迎すべきと発言。インフレ率は今年2.5─3%、22年も2.5%となる可能性があり、「インフレの2%超えを容認するFRBの政策にとり朗報だ」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米AT&T、携帯電話契約者とフリーキャッシュフロー

ワールド

韓国GDP、第1四半期は前期比+1.3%で予想上回

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、米金利高止まりを警戒

ワールド

メキシコ大統領選、与党シェインバウム氏が支持リード
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中