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焦点:バイデン氏、コロナ対策中は「野心的経済政策」お預けか

2020年10月26日(月)10時03分

 米民主党がこの春に全米各地で開いた大統領予備選では、富裕税その他の経済格差緩和策から、化石燃料依存を減らすための大胆な提案など、幅広い経済政策が議論された。写真はフロリダ州ミラマーで13日撮影(2020年 ロイター/Tom Brenner)

[ワシントン 20日 ロイター] - 米民主党がこの春に全米各地で開いた大統領予備選では、富裕税その他の経済格差緩和策から、化石燃料依存を減らすための大胆な提案など、幅広い経済政策が議論された。

しかし民主党が大統領の座と上下両院をすべて制する「ブルー・ウェーブ(青い波)」型の勝利になったとしても、新型コロナウイルスとの闘いに勝利するまでは改革的な経済政策を棚上げにせざるを得ないかもしれない。

大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝てば、新型コロナへの対応は変わる可能性がある。だがバイデン氏は、外食に対する市民の安心感を回復したり、商業活動や勤務を通常の状態に戻すなど、他にもさまざまな課題に直面する。つまりワクチンを取り巻く大きな不透明感、市民の行動様式、地方ごとにバラバラの感染症対策など、幅広い問題の舵取りを迫られる。

バイデン氏の経済顧問、ジャレド・バーンスタイン氏は最近のウェブキャストで政策の優先順位を問われ、「ウイルスの管理無くして持続的で力強い回復はとても想像できない。従って、それが第1歩目だ」と明言した。

同氏は「第2部」として、景気後退に苦しむ家計と企業を支えるための追加的な財政政策が必要になるだろうと指摘。その後、クリーンエネルギーや医療保険の対象拡大といった「より恒久的、持続的な課題」に移っていくと述べた。

バーンスタイン氏は、新型コロナおよび景気後退に重点的に取り組むことと、長期目標の追求は矛盾しないと説明。例えば、児童保育を拡充すれば親が仕事に復帰しやすくなるし、インフラ投資は喫緊の課題である雇用創出につながり得ると語った。

とはいえ現在の経済状況を踏まえれば、民主党はまっさらな状態から自らの経済政策を立案していくのではなく、目の前のコロナ禍への対応に追われることになるだろう。

<傷跡>

PGIMフィクスト・インカムの首席エコノミスト、ネイサン・シーツ氏は、問題は山積だと言う。職探しは大変になり、経済全体の生産能力が下がり、多くの家計と企業はバランスシートが痛んだ状態で再出発しなければならない。

「バランスシートが弱くなったことは、消費、投資、リスクテークの減少につながらないだろうか。今姿を現しつつあるのは、こうした傷跡だ」

民主党が大胆な経済政策を採れるかどうかは、コロナ禍だけでなく議会の構成にも左右される。

民主党寄りのシンクタンク、アメリカ進歩センターのニーラ・タンデン所長は、野心的な経済政策案の優先度は高いとした上で、「上院で共和党が過半数を占めれば、バイデン氏は自らの政策提案を劇的に後退させざるを得なくなるだろう。それが現実だ」と述べた。

危機時に改革が不可能なわけではない。

オバマ前大統領が2009年に就任した時、米国は金融危機と景気後退に見舞われていたが、1年後には医療保険制度改革法(オバマケア)の成立にこぎ着けた。当時、議会は完全に民主党が支配していた。

<迅速な政権移行>

バイデン氏は悠長な政権移行を許されない状態だ。

新型コロナウイルスのワクチン開発は進んでいるが、実用化の時期は不透明。しかも調査によると、市民のかなりの割合がワクチン接種をためらっている。

共和党の政策顧問で、シンクタンク、アメリカン・アクション・フォーラムの所長を務めるダグラス・ホルツイーキン氏は「バイデン氏は当選の翌日から信頼を取り戻し、道筋を示す責任がある」と指摘。米疾病対策センター(CDC)などの機関に明確な資格を持つ人材を据え、「現職大統領の公の顔を、素早く取りそろえる必要がある」と述べた。

次期政権にとって大きな不透明要因は、コロナ禍による混乱がいつまで続くかという問題だ。

エコノミストらによると、国内総生産(GDP)はおそらくあと1年間コロナ前の水準を下回り続ける見通し。失業率が2019年の低水準に戻るには、さらに長い時間を要すると予想されている。

(Howard Schneider記者)

ロイター
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