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ECB総裁、戦略見直しでインフレ上振れ容認示唆 FRBに追随

2020年10月01日(木)01時08分

 9月30日、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁(写真)は、ECBが現在進めている戦略見直しについて、米連邦準備理事会(FRB)に追随して目標を上回る物価上昇率を容認する可能性を示唆した。ベルリンで11日代表撮影(2020年 ロイター)

[フランクフルト 30日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は30日、ECBが現在進めている戦略見直しについて、米連邦準備理事会(FRB)に追随して目標を上回る物価上昇率を容認する可能性を示唆した。

ECBはインフレ目標を2%をやや下回る水準に設定しているが、過去数年間達成できていない。ラガルド氏は目標を達成するための期間を短縮する可能性にも言及した。

FRBは先月、低インフレ期間を相殺するため2%を超えるインフレ期間を容認し、インフレ率が長期的に平均2%となるよう目指方針を示した。ECBも追随するとの見方が高まっている。

ラガルド氏はイベントで「こうした戦略は、信頼を得られれば、金融政策の効力を高め、下限に直面した際に、経済を安定させることができる」と指摘。

「こうした埋め合わせ戦略は、人々の決定が完全に合理的ではない局面では――恐らく現状はそうした状態に近い――あまり成功を収めないかもしれないが、そうしたアプローチの有効性を検証できるかもしれない」と述べた。

FRBが物価の安定と完全雇用という2つの責務を負っているのに対し、ECBは「中期的」に物価安定を達成することが唯一の目標で、目標を達成するための期間は規定されていない。

ラガルド氏はECBの責務は「階層的」と述べ、中期的の定義が柔軟であるため一時的なショックが発生した際に政策を引き締め「雇用と成長を不必要に抑制する」ことを避けることができると指摘した。

その一方で、インフレ目標を達成できない状態が続けば、それがインフレ期待に織り込まれる可能性があるとも発言。政策で視野に入れる期間を短縮する必要が出てくるだろうと述べた。

ユーロ圏のインフレ率は今後数年間、目標に届かないとみられるため、ラガルド氏の発言はいずれもECBが積極的な緩和政策を継続、あるいは強化する必要があることを示唆している。

ラガルド氏はまたECBは住宅価格を注視し、コアインフレ率や金融安定に関する指標と合わせて分析すべきと主張した。

ECB理事会メンバーであるビルロワドガロー仏中銀総裁は、ECBが掲げる目標はすでにFRBとそれほど変わりがないものになっていると指摘。「ECBは中期的にシンメトリック(上下に対称的)とするインフレ目標を掲げているが、より柔軟的な平均でのインフレ目標と類似した結果が得られる公算が大きい」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
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