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NY市場サマリー(10日)ナスダック最高値、ドル下落

2020年07月11日(土)06時36分

[10日 ロイター] - <為替> ドルが下落。新型コロナウイルスワクチンを巡る期待からリスク選好が上向き、株価が値上がりする一方、ドルは売られた。ドル指数は週間で約1カ月ぶりの大幅な下げとなった。

米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズは10日、新型コロナ感染症の治療薬として利用されている抗ウイルス薬「レムデシビル」について、臨床試験(治験)で重症患者の死亡リスク低下や症状の改善が確認されたと発表した。ただ今後の治験でさらなる確認が必要としている。

テンパス(ワシントン)のトレーディング部バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は「最近はドル相場がリスク選好との相関性で語られることが多く、この日も同様の流れとなった」と指摘した。

こうした中、米国では9日時点で新たに6万0500人のコロナ感染者が確認され、過去最多を更新した。しかし市場参加者らは、足元の感染者数の増加よりも将来のワクチン実用化に注目しているとみられている。

ドルは通貨バスケット<=USD>に対し0.2%安の96.624。

経済指標では、6月の卸売物価指数(PPI)が前月比0.2%下落し、市場予想の0.4%上昇に反してマイナスに転じた。エネルギー製品が値上がりする一方、サービスが値下がりした。統計を受けドルは下落した。

ユーロ/ドルは0.2%高の1.1300ドル。

ドル/円は0.3%安の106.92円。一時2週間ぶりの安値を付けた。円はこのところ狭いレンジ内で推移しているが、マネックスでは将来のボラティリティー上昇への懸念がオプション市場のテクニカル指標からうかがえるとした。

オフショア人民元 は0.2%安の7.0114元。今週は約1%上昇した。

<債券> 長期国債利回りが上昇した。米国では新型コロナウイルスの新規感染者が過去最多を更新し、経済への影響が懸念されているものの、新型コロナ治療薬を巡る楽観的な見方が広がった。

指標10年債利回りは2.8ベーシスポイント(bp)上昇の0.6332%。序盤には一時0.569%と4月22日以来の低水準を付けたが、切り返した。

米バイオ医薬品企業ギリアド・サイエンシズは10日、新型コロナウイルス感染症の治療薬として利用されている抗ウイルス薬「レムデシビル」について、後期研究で死亡リスクの低下と重症患者の症状の大幅な改善が確認されたと発表した。

トゥルーイスト/サントラスト・アドバイザリー・サービシズの債券部マネジングディレクター、アンドリュー・リッチマン氏は「市場は二度目の経済閉鎖はないと期待している」と述べた。

一方、ロイターの集計では、9日時点の米国の新型コロナウイルス新規感染者は少なくとも6万0565人となり、米国だけでなく世界的にも1日当たりの新規感染者数の過去最多を記録した。

米ダラス地区連銀のカプラン総裁は10日、マスクの着用で新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせることが景気回復にとって重要であるという認識を示した。

2年債と10年債の金利差は48bpと、前日終盤から約2bp拡大した。一時42.7bpと、5月4日以来の水準に縮小する場面があった。

2年債利回りは1bp弱上昇し0.1549%。5年債利回りは2.4bp上昇の0.2976%。

週間では10年債利回りは約5bp低下した。

ウィズダムツリー・アセットマネジメント(ニューヨーク)の債券戦略部長、ケビン・フラナガン氏は「週末を控え、利益確定売りが出たようだ」と述べた。

<株式> 上昇。米国で新型コロナウイルス新規感染者数が連日で最多を記録し、懸念は強まっているものの、製薬ギリアド・サイエンシズのコロナ感染症治療薬が治験で良好なデータを示したことが材料視された。

ナスダック総合<.IXIC>は最高値で取引を終了。終値ベースでの最高値更新は過去7日営業日中6回目となる。

ロイターの集計によると、9日時点の米国の新型コロナ新規感染者は少なくとも6万0565人と、連日で過去最多を記録。国内でウイルス感染の新たなホットスポットとなっているフロリダ州ではこの日の新規感染者数が1万1400人を超え、過去2番目の多さとなった。

ギリアドは2.2%高。新型コロナ感染症の治療薬として利用されている抗ウイルス薬「レムデシビル」の臨床試験(治験)で重症患者の死亡リスク低下や症状の改善が確認されたと発表した。

S&P金融<.SPSY>は3.5%高。来週に第2・四半期決算の発表を控えるバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、JPモルガン・チェースが軒並み5.5─6.5%上昇した。

ナスダックは連日の最高値更新となったものの、ダウ平均株価<.DJI>とS&P総合500<.SPX>をアンダーパフォーム。US銀ウエルス・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、ロブ・ハウォース氏は「買い一巡の動きとなった。ここ1週間で上昇銘柄と下落銘柄の差は拡大しており、決算シーズンをにらみ、一部利益確定売りが出た」と指摘した。

週足ではダウが1%、S&Pが1.8%それぞれ上昇。ナスダックは4%急伸した。

クルーズ大手カーニバルは10.8%高。新型コロナウイルス流行で停止しているクルーズ船運航を段階的に再開すると発表した。

ゴールドマンの目標株価引き上げを追い風に、ネットフリックスも8.1%上昇した。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を2.87対1の比率で上回った。ナスダックでも1.62対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は95億7000万株。直近20営業日の平均は119億3000万株。

<金先物> 前日に続いて利益確定の売りがやや優勢となり、小幅続落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比1.90ドル(0.11%)安の1オンス=1801.90ドル。ただ、週間では0.66%上昇し、プラスでの越週は5週連続となった。

米国で9日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は6万人を超え、過去最多を更新。南部や西部でコロナ感染が深刻化し、経済活動の再開を停止せざるを得なくなるのではないかとの懸念が強まる中、10日未明から安全資産とされる金塊買いが優勢となった。外国為替市場でドルがユーロに対して軟化し、ドル建てで取引される商品に割安感が浮上したことも追い風となり、午前には一時1817.00ドルの高値を付けた。

しかし、米株価がじりじりと上げ幅を拡大すると、金塊は反転下落。金相場は今週に入り、2011年9月以来約8年10カ月ぶりの高値を相次ぎ更新しており、週末を前に利益確定の売りが台頭した。

金塊現物相場は午後1時32分現在、0.315ドル安の1799.490ドル。

<米原油先物> 需給見通しの改善に期待が広がる中、対ユーロでのドル安などに支えられ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比0.93ドル(2.35%)高の1バレル=40.55ドルだった。9月物は0.93ドル高の4 0.76ドルとなった。

国際エネルギー機関(IEA)は10日、2020年の世界の石油需要を前年比790万バレル減の日量9210万バレルと、従来予想から上方修正した。これを受けて、需給見通しに期待が広がり、原油が買われた。

また、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが10日に発表した統計によると、同日までの1週間の米国内石油掘削リグの稼働数が2009年6月以来の低水準となったことも好感された。外国為替市場では対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される原油などの商品の割安感につながり、原油に買いも入った。

ドル/円 NY終値 106.89/106.92

始値 106.78

高値 106.94

安値 106.65

ユーロ/ドル NY終値 1.1298/1.1302

始値 1.1293

高値 1.1324

安値 1.1274

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 97*31.00 1.3327%

前営業日終値 98*17.50 1.3090%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.50 0.6430%

前営業日終値 100*06.00 0.6050%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.50 0.3039%

前営業日終値 99*28.25 0.2740%

2年債(指標銘柄) 16時38分 99*30.00 0.1569%

前営業日終値 99*30.38 0.1510%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 26075.30 +369.21 +1.44 <.DJI>

前営業日終値 25706.09

ナスダック総合 10617.44 +69.69 +0.66 <.IXIC>

前営業日終値 10547.75

S&P総合500種 3185.04 +32.99 +1.05 <.SPX>

前営業日終値 3152.05

COMEX金 8月限 1801.9 ‐1.9 <0#GC:>

前営業日終値 1803.8

COMEX銀 9月限 1905.3 +9.1 <0#SI:>

前営業日終値 1896.2

北海ブレント 9月限 43.24 +0.89 <0#LCO:>

前営業日終値 42.35

米WTI先物 8月限 40.55 +0.93 <0#CL:>

前営業日終値 39.62

CRB商品指数 141.5191 +1.0620 <.TRCCRB>

前営業日終値 140.4571

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