ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクGの統治改革、ビジョンファンドは対象外に=関係筋

2020年07月06日(月)11時58分

 7月6日、ソフトバンクグループ(SBG)が、1000億ドルを運用する傘下のビジョン・ファンドに対する取締役会の監視を強める考えがないことが、複数の関係筋の話で明らかになった。写真は都内で2018年11月撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京/ベンガルール 6日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)<9984.T>が、1000億ドルを運用する傘下のビジョン・ファンドに対する取締役会の監視を強める考えがないことが、複数の関係筋の話で明らかになった。物言う投資家として知られる米エリオット・マネジメントは同ファンドも含めたガバナンス(企業統治)強化を求めているが、これには応じない構えだ。

ソフトバンクGはここ数カ月で2兆5000億円規模の自社株買いを打ち出し、社外取締役を増やすなど、エリオットによる要求をビジョン・ファンド以外で満たしてきた。

ビジョン・ファンドは米シェアオフィス大手のウィー・ワークなどの新興企業への投資で運用成績が悪化。この結果、ソフトバンクは2020年3月期に過去最大の赤字に陥った。しかし、同ファンドの経営陣の構造はほとんど変わっていない。

関係筋がこれまで明らかにしたところによると、エリオットはソフトバンクGに対し、取締役会の中に委員会を設け、ビジョン・ファンドの投資プロセスを監視し、支えるよう求めていた。

事情に詳しい関係者の1人によると、ソフトバンク側は委員会の設置を拒否。幹部らは 投資案件は既に経営首脳が吟味しており、30億─50億ドルの案件は大口出資者のリミテッド・パートナー(LP)の精査を受けていると主張しているという。

ソフトバンクGはコメントを控えた。エリオットはコメントの求めに応じていない。

ビジョン・ファンドの運用成績の不振を受け、ビジョン・ファンド2号の資金集めは難航、第1号の大口出資者であるサウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)とアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ政府系ファンド、ムバダラからの資金集め計画も頓挫している。

PIFとムバダラからコメントは得られていない。

ビジョン・ファンドの運営責任者はラジーブ・ミスラ氏で、同氏の昨年の報酬は2倍に増えた。ソフトバンクGの孫正義会長兼社長も同ファンドの経営陣に名を連ねている。

関係筋の1人によると、インド出身のミスラ氏は同ファンドの「顔」となっており、成績不振にもかかわらず、運営責任者としての地位は盤石だという。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

世界EV販売は年内1700万台に、石油需要はさらに

ビジネス

米3月新築住宅販売、8.8%増の69万3000戸 

ビジネス

円が対ユーロで16年ぶり安値、対ドルでも介入ライン

ワールド

米国は強力な加盟国、大統領選の結果問わず=NATO
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中