ニュース速報

ビジネス

消費支出4月は過去最大の11.1%減、コロナによる二極化鮮明に

2020年06月05日(金)10時56分

総務省が5日発表した4月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の実質消費支出は前年比11.1%減(変動調整値)で、比較可能な2001年1月以来、過去最大の減少幅となった。写真は休業する東京都内の百貨店。3月28日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 5日 ロイター] - 総務省が5日発表した4月の家計調査によると、全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の実質消費支出は26万7922円で前年比11.1%減(変動調整値)となり、比較可能な2001年1月以来、過去最大の減少幅を記録した。

4月は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、緊急事態宣言が全国に発令された。外出自粛ムードの高まりと営業自粛による供給の減少、テレワークの拡大により、外食や教養娯楽、鉄道運賃への支出が大きく減った。一方、「巣ごもり需要」で食料などでは前月に引き続き堅調で、消費支出は二極化が進んでいる。

<外出自粛が直撃、「選択的支出」顕著に>

減少が目立ったのは外食での食事代(前年同月比63.3%減)、飲酒代(同90.3%減)などで、特に後者は緊急事態宣言以降、マイナス幅が大幅に拡大した。

交通・通信は同8.1%減。鉄道運賃(同89.9%減)、通勤定期代(同41.2%減)などが大幅に減少。外出自粛や企業でのテレワーク導入が影響した。

教養娯楽は同33.9%減、 被服及び履物は同55.4%減。イベント自粛で入学式などがなくなり、支出が減った。

ニッセイ基礎研究所の生活研究部・主任研究員の久我尚子氏は、消費支出がコロナショック前の水準に回復するには1年以上はかかると指摘。「ワクチン開発などが進まない限り、外出需要の低迷は続く。必需品以外の消費は抑制され『選択的支出』の傾向が強まるだろう」との見方を示した。

一方、巣ごもり需要で増加したのは光熱・水道(同7.4%増)。昨年の同月の月末が休日で支払いのずれが生じたことに加え、1世帯あたりの支払い額も増えたという。

食料品やゲームの消費も引き続き堅調で、チューハイ・カクテルは同42.1%増、ゲーム機は同68.2%増だった。パソコン(同72.3%増)、インターネット接続料(同17.7%増)も増加した。

勤労者世帯の実収入(2人以上の世帯)は、前年比実質0.9%増だった。収支の内訳では配偶者の収入は同2.9%増(前月は同6.8%増)で、残業時間が減ったことが伸び鈍化につながった可能性がある。

*詳細を追加しました

*総務省の発表資料は以下のURLでご覧になれます。

http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm

(浜田寛子 編集:田中志保)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

企業向けサービス価格3月は2.3%上昇、年度は消費

ビジネス

スポティファイ、総利益10億ユーロ突破 販促抑制で

ビジネス

欧州委、中国のセキュリティー機器企業を調査 不正補

ビジネス

TikTok、簡易版のリスク評価報告書を欧州委に提
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中