ニュース速報

ビジネス

日産3社連合、車種投資額を最大4割削減 相互補完の分業戦略

2020年05月27日(水)20時17分

 5月27日、日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の3社連合(アライアンス)は、各社の強みを生かして弱い部分を補い合う「リーダー・フォロワー」戦略に基づいた新たな経営計画を発表した。写真は三菱自動車のロゴ。都内で2018年11月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 27日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>と仏ルノー、三菱自動車<7211.T>の3社連合(アライアンス)は27日、各社の強みを生かして弱い部分を補い合う「リーダー・フォロワー」戦略に基づいた新たな経営計画を発表した。特定の車種や地域、技術ごとに強い1社が主導し、他社が追随する相互補完的な分業戦略で、2025年までに3社で取り組む車種の半分近くをこの戦略で開発・生産する。プラットフォーム(車台)とエンジンのさらなる合理化などを進め、各社の車種への投資額を最大4割削減する。

新型コロナウイルス感染拡大で3社の業績は一段と悪化しており、連携して開発などを進めて生産拠点を集約するなどし、生き残りを図る。

ルノーのジャンドミニク・スナール会長はオンライン会見で、アライアンスの以前のビジネスモデルは「世界の全市場が大きく伸びる」という前提で考えており、非常に大きな台数を目標として設定していたと振り返り、「今後は台数よりも効率性と競争力を重視する」と述べた。

推進する戦略について同会長は「各社が持つ強みを発揮しながら、他社の強みも享受できる」と指摘。「各社が競争力と利益性を担保し、増やせるようにする」と話した。一方、経営統合に関しては「効率を追求するのに経営統合する必要はない」と語り、3社間で「統合の計画は話していない」と述べた。

3社間の標準化はプラットフォームからアッパーボディにまで広げる。セグメントごとに、主導する会社は他社の支援を得て「マザービークル」と「シスタービークル」を開発し、生産も競争力の高い拠点に集約する。具体的な車種は25年以降のCセグメントと呼ぶスポーツ多目的車(SUV)の開発を日産、欧州でのBセグメントと呼ぶSUVはルノーが主導する。南米では4つあるプラットフォームを1つに集約し、2工場で生産する予定。

技術開発では、運転支援技術を日産が主導。コネクテッドカー技術では、ルノーがアンドロイドベースのプラットフォーム、日産が中国市場向け開発をリード。C・Dセグメント向けプラグインハイブリッド車(PHV)の開発は三菱自が主導する。

地域では、日産が中国・北米・日本、ルノーは欧州・ロシア・南米・北アフリカ、三菱自は東南アジア諸国連合(ASEAN)・オセアニアを担う。

関連グラフは以下をご覧ください

https://tmsnrt.rs/2zo3F6G

*グラフへのリンクを追加して再送します。

(白木真紀 編集:高木匠)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中