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日銀、景気判断を約11年ぶり全9地域で引き下げ コロナで消費低迷

2020年04月09日(木)19時19分

 4月9日、日銀は、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、全9地域の景気判断を引き下げた。新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、全地域で「弱い動き」または「下押し圧力が強い状態」などと総括した。写真は日銀本店。都内で2016年3月撮影(2020年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 9日 ロイター] - 日銀は9日、地域経済報告(さくらリポート)を公表し、全9地域の景気判断を引き下げた。新型コロナウイルス感染拡大の影響などで、全地域で「弱い動き」または「下押し圧力が強い状態」などと総括した。支店長会議後の会見では、地方経済への深刻な影響を懸念する声が目立った。

全9地域の総括判断引き下げは2009年1月以来。今回、総括判断の表現から「回復」や「拡大」の文言がなくなったが、これは10年4月以来となる。

調査統計局の島田康隆地域経済調査課長は、個人消費の判断を全地域で引き下げたことが総括判断の全地域引き下げに大きく影響したとの見方を示した。個人消費の全地域引き下げは12年10月以来。

島田課長は、新型コロナの感染拡大が地域経済に甚大な影響を及ぼしていると指摘する半面、「家計の所得形成や企業の支出にポジティブな評価もみられる」と述べた。

ただ、緊急事態宣言により国内需要のさらなる下振れリスクが意識されていると指摘。「地域経済への影響をしっかりみていくことがポイントになる」と話した。

需要項目別では、生産、雇用・所得の判断が5地域で引き下げ。設備投資は2地域で引き下げられた。

<支店長会見、景気への懸念相次ぐ>

支店長会議後に記者会見に臨んだ支店長からは、地方経済の厳しい状況について発言が相次いだ。山田泰弘大阪支店長(理事)は、管内の景気の落ち込みについて「かなり深刻度は大きい。企業の業況感は非常に悪くなっている」と述べた。[nL3N2BX20N]福岡支店の宮下俊郎支店長も「4月に入って企業の景況感は急速に悪くなっている」と述べた。

清水季子名古屋支店長は、管内の製造業について「中国経済に続き欧州、米国経済も急減速したことで、全国以上に落ち込みが大きくなっている」と指摘した。

札幌支店の小高咲支店長は、北海道経済のけん引役の1つである建設業について、コロナ問題が長引けば民間建設投資で計画の先送りが出る可能性や住宅建設が減少する可能性に言及。「今回の大型経済対策で、来年度以降の公共投資の予算が減ることを懸念する声も出始めている」と述べた。

愛知県は10日にも単独で緊急事態宣言を出す予定。清水名古屋支店長は、外出や企業経営の自粛が一段と厳格化すると見込まれることから「影響の深刻化は避けられない」と指摘。製造業への影響を追加的に見ていく必要があると述べた。

ただ、サプライチェーンの持続性向上、きめ細かい生産調整、企業の財務体力の向上の3つの観点から「東海経済のダメージコントロール力は向上している」と指摘した。

新型コロナの感染防止の観点から、今回の支店長会見はテレビ会議形式で行われた。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:田中志保)

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