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情報BOX:FRBの新型コロナ対策一覧

2020年04月01日(水)14時39分

 3月31日、米連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ゼロ金利政策や量的緩和の再開など、矢継ぎ早に大胆な対策を打ち出している。写真はワシントンで昨年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ゼロ金利政策や量的緩和の再開など、矢継ぎ早に大胆な対策を打ち出している。

FRBの総資産は5兆3000億ドルを超えた。これは新型コロナ発生前の米国の年間国内総生産(GDP)の約4分の1に相当する。

FRBがこれまでに講じた対策は以下の通り。

<利下げ>

FRBは3月に2回の緊急利下げを実施。緊急利下げは2008年の金融危機以降で初めてだった。

第1弾は3月3日で利下げ幅50ベーシスポイント(bp)。第2弾は3月15日で利下げ幅100bp。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標はゼロ付近に引き下げられた。

<レポ市場>

FRBは資金不足で短期金利が急騰した昨年秋以降、短期金融市場に介入している。

今年は市場に資金を供給するレポ取引を縮小する計画だったが、新型コロナの感染拡大を受けて、翌日物資金をほぼ無制限で供給する方針に転換した。

31日には、海外の中央銀行に対するドル供給を拡充すると発表。国債を担保に資金を供給するレポ取引を活用し、米国債を一時的に買い入れてドルを提供する。

<量的緩和>

FRBは2008年の金融危機で初めて量的緩和政策を導入した。国債やモーゲージ担保証券(MBS)などを大量に購入することで長期金利の上昇を抑制することが狙い。

FRBは政策金利をゼロ付近に引き下げた3月15日に、大規模な量的緩和を再開。現在は、期限を設けずに買い入れを行う方針を示している。

<窓口貸出>

銀行による連銀窓口貸出の利用額はここ数週間、2009年以降で最高の水準に達している。通常、銀行は経営状態が悪いと受け止められることを嫌い、窓口貸出の利用を避ける傾向にあるが、FRBは適用金利を0.25%に引き下げ、融資期間も1日から90日に延長した。

銀行は3月25日時点で500億ドル以上を借り入れている。

<外国中銀との通貨スワップ>

FRBはカナダ中銀、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(英中央銀行)、日銀、スイス中銀の主要5中銀と常設的な通貨スワップ協定を締結し、ドル資金を供給している。

FRBはオペの頻度を週1回から毎日に変更。新たに9カ国と通貨スワップ協定を締結した。ドル資金の調達圧力を減らすことが狙いだ。

<ターム物資産担保証券融資ファシリティー(TALF)>

TALFは特別目的機関(SPV)を通じて、自動車ローン担保証券、クレジットカードローン担保証券、学生ローン担保証券、中小企業局の保証が付いたローンを裏付けとする担保証券などを買い入れる。

銀行や自動車ローン会社が顧客向け融資の財源を十分確保できる体制を整えることが狙い。

<コマーシャルペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)>

FRBは先の金融危機で利用したCPFFを再導入した。多くの人を雇用する大企業への資金供給が目的。TALF同様、SPVを通じて企業が発行するコマーシャルペーパー(CP)を買い入れる。

<プライマリーディーラー・クレジット・ファシリティー(PDCF)>

プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)向けの貸出制度。最大90日間、資金を供給する。2008年ー10年に導入された同様の制度では翌日物資金のみ供給していた。

<プライマリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(PMCCF)>

高格付け企業の発行した社債を買い入れる。

PMCCFはSPVを通じて社債の買い入れや企業向けの融資を実施し、事業継続に必要な資金を企業に提供する。企業は4年以内に返済する必要がある。

<セカンダリー・マーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(SMCCF)>

PMCCFと緊密に連携し、SPVが流通市場で社債や上場投資信託(ETF)を買い入れる。流通市場の流動性を増やし、社債市場の安定化を促すことが狙い。買い入れ対象は投資適格級のみ。

<マネーマーケット・ミューチュアルファンド流動性ファシリティー(MMFLF)>

マネーマーケット・ミューチュアルファンド(MMF)業界を支援する新制度。投資家の急なMMF解約に備える。金融機関はMMFから米国債など高格付け証券を購入して、担保として差し出せば、最長1年の融資を受けられる。

FRBは銀行に対しMMFからの資産購入を間接的に促し、MMFが顧客の解約請求に応じるため安値で資産を売却するリスクを減らす。

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