ニュース速報

ビジネス

米個人消費、2月は0.2%増 新型コロナ影響で今後急減の見込み

2020年03月28日(土)01時57分

3月27日、米商務省が発表した2月の個人消費支出(季節調整済み)は、前月比0.2%増と緩やかな伸びとなった。市場予想と一致した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で米国民の生活が急変する中、向こう数カ月間で急減する見込みだ。写真は3月14日、ニューヨーク州のショッピングモールで(2020年 ロイター/Mike Segar)

[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が27日発表した2月の個人消費支出(季節調整済み)は、前月比0.2%増と緩やかな伸びとなった。市場予想と一致した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で米国民の生活が急変する中、向こう数カ月間で急減する見込みだ。

個人消費は米経済の3分の2以上を占める。2月は電力・ガスの消費が増え、自動車・同部品や娯楽用品の落ち込みを相殺した。

1月も0.2%増加していた。

米国の新型ウイルスの感染者数は8万2000人を超え、世界最多となった。全50州のうち半分以上の州知事が住民に自宅にとどまるように指示し、1億人以上の人に影響している。自宅待機に備えるための買い占め騒動でスーパーマーケットでの消費は増えたが、レストランやバーが閉まったことや、飛行機での旅行の大幅削減による消費の落ち込みの方が大きい。

2月のインフレ調整後の実質消費支出は前月比0.1%増だった。1月も同じペースで伸びていた。

新型ウイルスの感染拡大を抑えるためのソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)によって何百万人もの失業者が出ているほか、裁量的な支出が大幅に減っている。エコノミストは個人消費が第1・四半期にやや減り、第2・四半期はより大幅な減少となるとみている。

オックスフォード・エコノミクスの上席米国エコノミスト、リディア・ブサワー氏は「新型コロナの急速な感染拡大への対抗措置であるソーシャル・ディスタンシングは金融市場の過度なボラティリティーと共に経済成長の原動力に深刻な損害を与える」と述べた。

2019年第4・四半期の個人消費は年率で1.8%増と、好調だった第3・四半期の3.2%増から鈍化した。

労働市場の底堅さから賃金は安定的に伸びていた。好調な労働市場が米経済の主な下支え要因だった。

2月の個人所得は2カ月連続で前月比0.6%増だった。賃金が0.5%伸びたほか、米中貿易摩擦の打撃を受ける農家への補助金が押し上げ要因だった。

所得の伸びが消費を上回ったことで貯蓄は前月の1兆3200億ドルから1兆3800億ドルに増加し1年ぶりの高水準となった。

物価上昇圧力は弱かった。個人消費支出(PCE)価格指数は2カ月連続で前月比0.1%上昇した。2月の前年同月比は2カ月連続で1.8%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたPCEコア指数は1月と同じ前月比0.2%上昇だった。2月の前年同月比は1.8%上昇。1月は1.7%上昇だった。PCEコアの前年同月比はFRBが物価の目安としている。

*情報を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スペースXの米スパイ衛星網構築計画、ノースロップが

ワールド

米高官、ラファ侵攻計画に懸念表明 イスラエルと協議

ワールド

イスラエルの長期格付け、「A+」に引き下げ =S&

ビジネス

米アトランタ連銀総裁、インフレ進展停滞なら利上げに
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中