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前田建設が前田道路に賛同なきTOB、道路は資本関係解消を提案
[東京 20日 ロイター] - 前田建設工業<1824.T>は20日、前田道路<1883.T>の普通株式を1株3950円で公開買付け(TOB)すると発表した。前田建設は前田道路株の24.68%を所有する筆頭株主で、保有株を過半数まで引き上げ連結子会社化することを目指す。一方、前田道路は同日、前田建設に資本関係の解消を提案しており、現時点でTOBには賛同していない。
<前田建設社長「友好的に進めたい」、道路「TOBは一方的かつ突然」>
前田建設の前田操治社長は会見で「現時点で前田道路からは賛同を得られていないが、友好的に進めていきたい」とし「今後、経営陣に意義とシナジーを説明し、賛同してもらえるように努める」と述べた。
前田道路を子会社化することで、グループの一体感を高め、道路、空港、上下水道などさまざまな社会インフラに関わる全てのサービス領域に事業領域を拡大する「総合インフラサービス企業グループ」になることを目指す。また、デジタル面でも連携を進めていく方針。
一方、前田道路は、TOBについて「何ら正式な連絡もなく、一方的かつ突然に行われたもの」とし「内容や関連情報を精査したうえで速やかに見解を公表する予定」とのコメントを発表した。関係者は、前田建設との間で事業シナジーが見込めないことや自己資本利益率(ROE)の改善、経営陣の独立性の確保などの面から、同社が提案している資本関係の解消が全ての関係者にとってメリットがあると考えている、とした。
TOB期間は1月21日から3月4日。TOB価格は1月17日終値(2633円)に対して50.02%のプレミアムが付いている。買い付け株数に下限はない。一方、上限は2181万1300株で買付代金は約862億円。
TOB後に前田建設が保有する株式数は最大で4227万1300株(保有割合51.0%)。完全子会社化を目指さなかった理由について、前田建社長は「上場会社である前田道路の経営の独立性を最大限尊重したうえで、グループシナジーを得る」と説明した。公開買い付け代理人は大和証券。
前田建設は5月ごろから、事業シナジーやガバナンスの在り方について話をしてきた。さらには、昨年11―12月ごろに株式の過半数取得が必要という提案を行ったという。ただ、環境変化への危機感などを共有できず、「事業戦略の考え方に相違があったほか、時間的な危機感にも温度差があった」ことから、TOBへの賛同は得られなかったと説明した。
*内容を追加しました。
(清水律子 編集:内田慎一)