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航空業界の利益見通し引き下げ、貿易摩擦影響=IATA
国際航空運送協会(IATA)は11日、2019年の航空会社の純利益が前年比5.1%減の259億ドルとなるとの見通しを示した。ニュージャージー州のニューアーク空港で6日撮影(2019年 ロイター/CHRIS HELGREN)
[ジュネーブ 11日 ロイター] - 国際航空運送協会(IATA)は11日、2019年の航空会社の純利益が前年比5.1%減の259億ドルとなるとの見通しを示した。貿易摩擦が響き、6月時点の予想である280億ドルから下方改定した。
20年はやや回復するとの見通しを示した上で、世界的な貿易摩擦が「休戦」となることが前提だと述べた。
IATAのドジュニアック事務局長は年次説明会で「貿易戦争には勝者がいない」と指摘。貿易摩擦のほか、世界経済の鈍化や英国の欧州連合(EU)離脱、社会不安の要因が「全て合わさって、19年は航空会社にとって予想していたよりも厳しい市況となった」とした。
19年の売上高見通しは8380億ドルと、6月時点の8990億ドルから引き下げた。20年は8720億ドルへ改善すると試算した。航空費が抑制されていることを反映し、乗客1人当たりの純利益は19年に5.70ドルと、18年の6.22ドルから減少。航空業界の利幅は昨年の3.4%から19年は3.1%に低下する見通しだ。最も業績が悪化しているのは貨物事業で、貨物需要は前年比3.3%減と、金融危機時の09年以来最大の落ち込みを記録。売り上げは8%減っている。
世界貿易の伸びは19年に0.9%増となる見込みで、6月時点の予想である2.5%増から大幅に減速する。1年前は4.1%増との予想だった。20年に売り上げがやや回復する見通しを裏付ける材料として、20年は貿易の伸びが3.3%増へ加速すると見込んでいる。「米大統領選の圧力が影響して貿易摩擦が和らぐ」との見方を示した。
アナリストは、米航空機大手ボーイング
IATAの首席エコノミスト、ブライアン・ピアース氏は、古い旅客機を処分することを踏まえても数百台のMAX旅客機が導入される中で20年は収容能力が4.7%増と、航空交通量の4.1%増を上回る見込みで、市場にとっては「受け入れがたい」かもしれないと述べた。
IATAはMAX旅客機の安全性を巡る問題は終わりに近づいていると述べた。ただ規制当局間で意見が対立した場合は運航再開が混乱する可能性があると警告した。
航空業界の利益は、主に米国を拠点とする一部の航空会社が生み出している。欧州ではここ1年、多くの航空会社が破綻した。航空会社は欧州の新たな環境税への批判を高めている。航空会社が排出枠を購入し、オフセットするCORSIAプログラムが21年に導入される予定で、負担が大き過ぎると主張している。