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米7ー9月の単位労働コストが大幅下方修正、労働生産性マイナス
米労働省が10日発表した第3・四半期の非農業部門の労働生産性(改定値)は年率換算で前期比0.2%低下した。2015年第4・四半期以来、4年近くぶりの大幅な落ち込みだった。テネシー州スマーナで昨年8月撮影(2019年 ロイター/WILLIAM DESHAZER)
[ワシントン 10日 ロイター] - 米労働省が10日発表した第3・四半期の非農業部門の労働生産性(改定値)は年率換算で前期比0.2%低下した。2015年第4・四半期以来、4年近くぶりの大幅な落ち込みだった。
また生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストの伸びは大幅に下方修正され、物価が当面、緩やかな伸びにとどまることを示唆した。
労働生産性の市場予想は0.1%低下。速報値は0.3%低下だった。第2・四半期は改定なしの2.5%上昇。第3・四半期の前年同期比の伸びは1.5%と、速報値の1.4%上昇から改定された。
こうした中、単位労働コストは前期比の伸びが2.5%と、速報値の3.6%から大幅に下方改定された。前年同期比では2.2%上昇。速報値は3.1%だった。
労働コストはこのところ、企業収益を上回るペースで伸び、利益率の圧迫要因となっていた。労働コストの伸び鈍化は「企業の利益率という観点では良い兆しと言えるが、生産性の低下や報酬の底堅い伸びを背景に、労働コストへの上昇圧力は今後も維持される」(オックスフォード・エコノミクス)とみられる。
時間当たりの労働報酬は前期比2.3%増。速報値は3.3%増だった。前年同期比では3.7%増加した。
単位労働コストや報酬の伸びは、緩やかな賃金の伸びを示す他の指標と一致しており、インフレ率は引き続き連邦準備理事会(FRB)の目標である2%を下回る公算が大きい。FRBは10─11日の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)会合を開く。10月の会合では今年3回目の利下げを決めたが、今回は金利を据え置くとみられる。
軟調な生産性を踏まえると、トランプ政権の目標である年率3.0%の経済成長は達成できそうにない。
生産性は2007─18年の間、平均で年率1.3%のペースで上昇した。1947─2018年の平均である2.1%を下回っている。物価上昇率を加速をさせずに成長できるペースが鈍化したことを示す。
一部のエコノミストは、軟調な生産性の要因として労働力不足のほか、一部の地域で薬物中毒がまん延したことを指摘。設備投資が軟調であることから労働力に対する資本の比率が大幅に低下し生産性を抑制していると指摘する者もいる。労働生産性の算出方法に歪みがあるとの声も上がっている。特に情報技術(IT)の分野で言えることだ。FRBのパウエル議長は10月、中銀が「生産性の伸びが間違って計算されている可能性について、その影響を慎重に見極めている」と述べた。
労働時間は2.5%増と、速報値の2.4%増から上方改定された。
*内容を追加しました。