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米中通商交渉に引き続き注目、関税発動期限迫る=今週の米株式市場

2019年12月09日(月)08時32分

 12月9日からの週の米株式市場では、米中通商交渉をはじめとする通商問題が引き続き最大の焦点となる。写真はニューヨーク証券取引所で11月撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク 6日 ロイター] - 9日からの週の米株式市場では、米中通商交渉をはじめとする通商問題が引き続き最大の焦点となる。米連邦準備理事会(FRB)の今年最後の政策決定も予定されているが、政策金利は据え置くとみられている。

米国がスマートフォンやパソコンを含む1560億ドル分の中国製品を対象に追加関税を発動する期限である12月15日が迫るなか、株式市場は振れが大きくなる可能性がある。

サントラスト・アドバイザリー・サービシズの首席市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏は米中通商交渉の「第1段階」合意が決着するまでは、「日々の動きは交渉の進展あるいは進展不足に決定されるとみられる」と述べた。

UBSのエコノミストは12月15日に追加の対中関税が発動されれば、米国の来年の国内総生産(GDP)成長率は四半期ごとに0.1%か0.2%押し下げられると予想する。対中関税の影響は特に上半期に顕著になるとみられ、年全体のGDP成長率は平均1.1%になるとみている。

米政府による香港のデモへの支持や中国新疆ウイグル自治区のイスラム教少数民族ウイグル族に対する中国当局の扱いを巡る政治的緊張によって、第1段階合意を巡る懸念はさらに強まった。

スレートストーン・ウェルスの首席投資ストラテジストのロバート・パブリック氏は「第1段階合意で来年序盤に何らかの合意署名が行われる見通しが立たなければ、株価は売りを浴びやすくなる」と指摘。

FRBが10─11日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)について、サントラストのラーナー氏は、「FRB議長は利上げへのハードルは非常に高いと既に明確にしたも同然」で、対中関税が理由で景気が大幅に悪化した場合、FRBは最終的に利下げでの対応を迫られることになるだろうとした。

最大の焦点である米中貿易摩擦以外でも、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新たな貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の批准手続きの遅れや米国が輸入自動車に追加関税を発動する可能性、ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに米国が予想外に発動した関税なども市場で材料視されてきた。

このほか、個人消費が今後の米景気成長の鍵になるとみられるなか、年末商戦における消費動向にも投資家の関心は集まっている。

ロイター
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