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世界の石油需要の伸び、2025年から鈍化へ=IEA
11月13日、国際エネルギー機関(IEA)は世界の石油需要の伸びについて、燃料効率の向上や電化推進の加速を背景に2025年から鈍化するとの見通しを示した。写真はカナダのアルバータ州にある油田。2014年7月21日撮影(2019年 ロイター/Todd Korol)
[ロンドン 13日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)は、世界の石油需要の伸びについて、燃料効率の向上や電化推進の加速を背景に2025年から鈍化するとの見通しを示した。ただ、需要が今後20年でピークに達する可能性は低いとした。
IEAは、2040年までの期間の年次「世界エネルギー展望」を発表。その中で、需要の伸びは2030年代には顕著に鈍化するものの、需要の拡大自体は続くと指摘した。
既存のエネルギー政策や発表済みの目標を織り込んだ中心シナリオとして、石油需要は2018年の日量9700万バレルから、2025年まで毎年平均で日量100万バレル程度増加するとの予想を示した。
その後、2030年代は年平均で日量10万バレル増加し、2040年には石油需要は日量1億0600万バレルとなる、とした。
IEAは「(石油需要の伸びは)2025年以降は大幅に鈍化するが、石油利用が明確なピークを付けるというわけではない」と分析。トラックや海運、航空、石油化学セクターの需要拡大を理由に挙げた。ただ、電気自動車への移行に伴い、乗用車の石油利用は2020年代末にはピークに達すると予想した。
IEAの展望によると、一次エネルギー需要は2040年まで四半期ごとに増加するとし、増加分の半分を再生可能エネルギーが、35%をガスが占めるとした。
また中心シナリオでは、経済成長や人口増加を背景に、エネルギー関連の二酸化炭素排出量が2040年までにピークに達しないとみられており、2018年から2040年までに年間1億トンの増加が予想されるとした。これは2010年以降の平均増加量3億5000万トンを下回るものの、世界的な気温上昇を抑制するには不十分とみられている。
電気自動車の2040年までの販売台数は3億3000万台と、昨年の予想の3億台から引き上げた。電気自動車の普及により日量約400万バレルの石油利用が置き換わるという。
石油生産が最も増加する国として米国やイラク、ブラジルを挙げた。米国の原油生産は2018年の日量600万バレルから2035年には日量1100万バレルに増加する見通し。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国およびロシアの石油生産シェアは今後10年間で47%に低下し、1980年代以来の低水準になるとした。
IEAは中心シナリオで「需給バランスを取るのに必要な石油価格は2030年で1バレル=約90ドル、2040年で1バレル=103ドルとやや上昇する」とした。
*内容を追加しました。