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中国製造業PMI、10月は6カ月連続50割れ 非製造業は約3年半ぶり低水準

2019年10月31日(木)15時41分

 10月31日、中国国家統計局が発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.3と、前月の49.8から低下し、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を6カ月連続で下回った。写真は山東省の自動車工場で昨年11月撮影(2019年 ロイター)

[北京 31日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は景況拡大と悪化の分かれ目となる50を6カ月連続で下回り、非製造業PMIは2016年2月以来の低水準となった。

世界的な需要減速や米中貿易摩擦によるリスクが高まっており、政策当局者は一段の景気対策を迫られる。

10月の製造業PMIは49.3と、前月の49.8から低下。ロイターがまとめたエコノミスト予想は9月から横ばいの49.8だった。[nL3N27G12H]

新規輸出受注指数が前月の48.2から47.0に低下し、17カ月連続で50を下回った。

輸出に加えて国内需要も含む新規受注指数は9月に50を回復したが、10月は再び割り込み、国内でも需要低迷が続いていることを示唆した。

雇用指数は47.3と、前月の47.0から上昇したものの、依然として50を下回った。

米中間では第1段階の通商合意署名に向けた取り組みが見られるものの、1年4カ月近くに及んでいる貿易摩擦は解消されておらず、中国製造業部門への圧迫は続く見通しだ。

オーストラリア・アンド・ニュージーランド(ANZ)銀行の中華圏担当チーフエコノミスト、レイモンド・ユン氏は、仮に第1段階の合意に署名しても、産業活動に大きなプラスの影響をもたらす可能性は低いと指摘。景気減速が鮮明になる中、製造業、非製造業PMI双方の価格指数低迷はデフレリスクの高まりを示唆していると述べた。

キャピタル・エコノミクスのシニア中国エコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏はリポートで「PMIの低下は予想以上で、第3・四半期終盤の持ち直しが持続的な回復の始まりではなかったというわれわれの見方を裏付ける結果となった」と分析。建設指数は上昇し、同部門の活動が底堅さを維持した可能性を示唆したものの、サービス部門の大幅な指数低下が影を落としたと指摘した。

10月の非製造業PMIは52.8と、前月の53.7から低下し、2016年2月以来の低水準となった。ただ、景況拡大と悪化の分かれ目となる50は上回った。[nL3N27G0NR]

政府は、底堅いサービス部門の伸びによる景気下支えを期待してきたが、中国経済の成長率が約30年ぶり低水準となる中、サービス部門も昨年終盤から冷え込み始めている。

<成長鈍化の懸念>

野村のアナリストはリポートで「製造業PMIは今後数カ月にわたり低迷が続く見通しだ。成長鈍化が加速し、市場のボラティリティーが高まる可能性がある」とした上で、政府は向こう数四半期に景気刺激策を強化する公算が大きいとの見方を示した。

共産党機関紙・人民日報は31日の社説で、成長安定化の優先度を高めるべきだと論じ、インフラ投資拡大の必要性を訴えた。

ANZのユン氏は「足元の経済情勢は2009年と酷似している」としながらも、中国政府が当時のように大規模な刺激策を打ち出す可能性は低いと指摘。金利引き下げの余地はあるが、政府は産業政策や財政出動を軸に景気減速を抑制し、経済の「ソフトランディング」(軟着陸)を図る公算が大きいとの見方を示した。

※内容を追加しました。

ロイター
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