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FRB、大手行に手元準備への米国債拡充認める意向=関係者

2019年10月18日(金)09時26分

 10月17日、米短期金融市場で先月起きた金利高騰などの混乱を踏まえ、大手行は、手元準備の中で米国債をより多く保有し、現金を少なくすることを金融監督当局が事実上了承しつつあるとの感触を得ている。ニューヨーク証券取引所付近で9月17日撮影(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

[ニューヨーク/ワシントン 17日 ロイター] - 米短期金融市場で先月起きた金利高騰などの混乱を踏まえ、大手行は、手元準備の中で米国債をより多く保有し、現金を少なくすることを金融監督当局が事実上了承しつつあるとの感触を得ている。3人の業界関係者がロイターに語った。

こうした変化は、短期市場の流動性向上につながる。米国債はレポ市場で資金を借り入れる際の主な担保となっているからだ。

流動性バッファーとして米国債を現金と同等に扱うことに米連邦準備理事会(FRB)が示す極めて慎重な態度に銀行は長年、不満を募らせてきた。銀行はここ数週間、より柔軟な姿勢を取るようFRB側に働き掛けを強めてきた。その結果、監督当局は銀行幹部との非公式な話し合いの場で、銀行が超過準備を手元の現金拡充よりもレポ市場での貸し出しに回しやすい環境を整える地ならしをしている、と複数の関係者が明らかにした。

FRBは、規制対象金融機関との協議についてはコメントを拒否した。

事情に詳しい人々の話では、銀行はFRBの監督部門と定期的に会合を開催しており、監督部門側は規制をどう解釈するかに関する幅広い指針を提示する。ただし正式な「指導」は行っていない。超過準備の運用でもあれこれ指図するというよりも不備を見つけ出し、その上で金融機関側が提出する資本計画で見解を表明することになる。

銀行業界はこれまで、こうしたやり取りを通じて、FRBはストレス時には米国債よりも現金を持つのが好ましいと考えているとの理解に達していた、と関係者は話す。FRBとしては、大量の米国債を手放そうとする銀行が苦し紛れに非常な安値で投げ売りに動くことが心配の種なのだ。

ところがある銀行筋によると、9月にレポ市場が一時機能不全に陥った後、銀行と非公式に接触する場でのFRB監督担当者の様子が変わった。

レポ市場で借り入れ金利が10%に跳ね上がり、FRBが世界金融危機以降初めて流動性供給に乗り出さなければならない場面が出てきたことで、銀行がトレーディングや融資のための資金を調達する短期市場で円滑な取引が行われることの重大性が、改めて認識された形だ。

ロイター
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