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NY市場サマリー(16日)

2018年11月17日(土)07時48分

[16日 ロイター] - <為替> 米連邦準備理事会(FRB)当局者から世界的な経済成長について慎重な発言が相次いだことを受け、ドルが幅広い通貨に対して下落した。一方、欧州連合(EU)離脱を巡る懸念で下落していた英ポンドはこの日は対ドルで上向いた。

FRBのクラリダ副議長はCNBCのインタビューに対し、「世界的な減速を示唆する証拠はある」と表明。このほか、米金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいているとの見方を示し、「経済の現状、およびFRBの景気見通しを踏まえると、中立的であることは理に適う」と述べた。

市場ではクラリダ副議長の発言は、FRBがこれまで考えられていたよりも早い時期に利上げサイクルを終了させる可能性を示唆していると受け止められ、ドルは対ユーロで1週間ぶり、対円で2週間ぶりの安値を付けた。

この日はこのほか、ダラス地区連銀のカプラン総裁がフォックス・ビジネスに対し、世界的な成長は若干の向かい風になり、米経済も影響を受ける可能性があるとの見方を表明。クラリダ副議長とカプラン地区連銀総裁の発言でドル売りが触発され、ドル/ユーロは0.7%安の1.141ドル、ドル/円は0.7%安の112.82円となった。

マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニア投資アナリスト、チャック・トメス氏は 「一部FRB当局者がハト派的なスタンスを示したことで、ドルに圧力がかかった」としている。

この日はシカゴ地区連銀のエバンズ総裁も経済に対する将来的なリスクを指摘。ただ同総裁は、今後の米指標が予想よりも力強ければFRBはいわゆる中立金利を超えて利上げを実施する可能性があるとも述べた。

英ポンドは対ドルで0.42%高の1.2829ドル。ただ対ユーロでは0.31%安の88.945ペンスとなった。

ユーロに対しては、イタリアのコンテ首相が2019年予算案を巡り欧州連合(EU)に協力するとの期待感が支援要因となっている。

市場は米中通商問題にも注目。トランプ米大統領はこの日、中国が通商問題での合意を求めており、同国に追加関税を課す必要がなくなる可能性があるとの認識を示した。

人民元相場はオフショア市場で対ドルで0.13%高の6.92元となっている。

<債券> 米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が米金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいているとの見方を示し、現在の引き締めサイクルが近く終了する可能性が示唆されたことで、国債利回りが低下した。

10年債、30年債、2年債の利回りが2週間ぶりの水準に低下したほか、5年債と7年債の利回りは2カ月ぶりの低水準を付けた。

クラリダ副議長はCNBCのインタビューに対し、金利がFRBが中立的な水準と見なす2.5─3.5%に近づくにつれ、政策担当者は労働市場とインフレ動行を緊密に注視する必要があると指摘。「現在は特にデータに依存する必要がある時点に差し掛かっている」とし、「経済の現状、およびFRBの景気見通しを踏まえると、中立的であることは理に適う」と述べた。

米上院はクラリダ氏の副議長指名を8月に承認。この日の発言は承認以来初めての公の場での発言となる。

ジャネイ・モンゴメリ・スコット(フィラデルフィア)の首席債券ストラテジスト、ガイ・レバス氏は「FRB当局者の発言が市場の大きな動意となっている」と指摘。「クラリダ副議長が示した姿勢はややハト派的で、特に積極的なスタンスではなかった」と述べた。

この日はほかに、ダラス地区連銀のカプラン総裁がフォックス・ビジネスのインタビューに対し、米経済は自身の予想よりも力強く推移しているとしながらも、来年はトランプ政権の税制改革による恩恵が薄れるほか、世界的な経済情勢が軟調になるなどの向かい風にさらされるとの見方を示した。

パウエルFRB議長も14日に、FRB当局者がどの程度のペースで利上げを実施すべきか検討する中で、世界経済の成長鈍化が懸念事項として台頭しているとの認識を示している。

前出のレバス氏は「パウエル議長、クラリダ副議長、カプラン地区連銀総裁の3人とも国外の経済情勢のネガティブな部分に言及したことは注目に価する」とし、「3人ともかなり似たような文言を使って、FRBが世界経済の成長が政策に及ぼす影響について懸念していることを示した」と述べた。

ただ、ファースト・エンパイア証券の首席市場ストラテジスト、クリス・アーレンズ氏は、世界的な経済成長が鈍化したとしても、FRBが来月見込まれている利上げを延期することはないとの見方を示した。

10年債利回りは一時3.066%と、2週間ぶりの水準に低下。終盤の取引では3.077%となっている。前日は3.118%だった。

30年債は一時3.323%と、2週間ぶりの水準に低下。終盤の取引では3.331%。前日は3.366%だった。

2年債利回りも一時2週間ぶり水準の2.804%に低下。終盤の取引では2.812%、前日は2.862%だった。

<株式> S&P総合500種とダウ平均が上昇して取引を終えた。中国に追加関税を課す必要がなくなる可能性があるとのトランプ米大統領の発言を受けた。ナスダック総合は半導体メーカー、エヌビディアの下落で小幅安となった。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのアナリスト、ベロニカ・ウィリス氏は「市場は通商関連なら何でも注目する」とし、通商問題での合意は「株式にプラスとなる世界経済成長への期待を押し上げる」と述べた。

エヌビディアは18.8%安で終了。前日発表した第4・四半期でさえない売上高見通しを示した。仮想通貨のマイニングブームが終息したことが背景。フィラデルフィア半導体指数<.SOX>も押し下げられ、1.2%安となった。

フェイスブックは3.0%下落。2016年米大統領選のロシア介入疑惑などへの批判をかわすため外部企業を採用したとの米紙ニューヨーク・タイムズの報道を受け、規制上の調査に直面する懸念があらためて浮上した。

市場関係者によると、米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が米金利についてFRBが中立金利と見なす水準に近づいているとの見方を示したことも株式市場を支援したという。

週間ベースでは、S&P総合500種が1.61%、ダウは2.22%、ナスダックは2.15%それぞれ下落した。

S&Pエネルギー株指数<.SPNY>は1.1%上昇。今週は大幅下落していたが、石油輸出国機構(OEPC)と非加盟産油国が来月に減産で合意するとの見方から持ち直した。

S&P公共事業株指数は1.3%高。米電力会社PG&Eが37.5%急伸した。カリフォルニア州の山火事を巡り、州公益事業委員会(CPUC)当局者が、PG&Eに山火事の責任があると認められた場合でも破産を望まないと発言したことを受けた。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を1.20対1の比率で上回った。ナスダックでも1.03対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は81億8000万株。直近20営業日の平均は86億1000万株。

<金先物> 対ユーロでのドル安先行に伴う割安感などから買いが優勢となり、3日続伸した。中心限月12月物の清算値は前日比8.00ドル(0.66%)高の1オンス=1223.00ドル。

米連邦準備制度理事会(FRB)のクラリダ副議長は16日、米CNBCテレビのインタビューで、政策金利が景気を過熱したり冷やしたりしない「中立水準」に到達した時点で利上げを停止すべきだとの見解を示唆。中立を超えて引き締めることに否定的な考えをにじませた。これを受けて、外国為替市場ではドル売り・ユーロ買いが加速。ドル建てで取引される金塊などの商品に割安感が生じたことから、金が買われた。

また、英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる先行き不透明感や米中「貿易戦争」に対する警戒感がくすぶっていることも、安全資産としての金買いを支えた。金塊現物相場は午後1時59分現在、6.910ドル高の1221.850ドル。

<米原油先物> 主要産油国による減産観測を受けた思惑買いや安値拾いの買いが先行したものの、その後は利益確定の売りに押され、横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値は前日比横ばいの1バレル=56.46ドル。1月物の清算値は変わらずの56.68ドル。

市場では、12月6日にウィーンで開かれる石油輸出国機構(OPEC)総会に注目が集まっている。過去数カ月間にわたる増産措置から減産措置に回帰する可能性が取り沙汰される中、ロイターは今週、サウジアラビアがOPEC加盟・非加盟の産油国で日量140万バレル(全世界の供給量の1.5%)程度の大幅な協調減産を検討していると報道。こうした減産観測を受けた思惑買いに加え、13日には約1年ぶりの安値を付けていた反動からこの日も安値拾いの買いも入りやすく、相場は午前中に一時57.96ドルまで上昇。ただ、買い一巡後は流れが反転。続伸の後を受けた利益確定の売りに加え、週末要因による持ち高調整の売りも出たことから、上げ幅を一掃した。

また、米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが16日午後公表した統計では、同日までの1週間の国内石油掘削リグ稼働数が前週比2基増の888基と、2015年3月以来の高水準を更新。前週に続き米国内の増産傾向が確認されたことも上値を抑えたもようだ。

ドル/円 NY終値 112.82/112.85

始値 113.31

高値 113.36

安値 112.65

ユーロ/ドル NY終値 1.1418/1.1422

始値 1.1328

高値 1.1421

安値 1.1326

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 101*02.50 3.3180%

前営業日終値 100*05.50 3.3660%

10年債(指標銘柄) 17時02分 100*16.50 3.0647%

前営業日終値 100*02.00 3.1180%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*31.00 2.8816%

前営業日終値 99*21.75 2.9450%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*04.00 2.8081%

前営業日終値 100*00.75 2.8620%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 25413.22 +123.95 +0.49 <.DJI>

前営業日終値 25289.27

ナスダック総合 7247.87 -11.16 -0.15 <.IXIC>

前営業日終値 7259.03

S&P総合500種 2736.27 +6.07 +0.22 <.SPX>

前営業日終値 2730.20

COMEX金 12月限 1223.0 +8.0 <0#GC:>

前営業日終値 1215.0

COMEX銀 12月限 1438.2 +11.9 <0#SI:>

前営業日終値 1426.3

北海ブレント 1月限 66.76 +0.14 <0#LCO:>

前営業日終値 66.62

米WTI先物 12月限 56.46 ‐0.00 <0#CL:>

前営業日終値 56.46

CRB商品指数 187.2971 +1.7586 <.TRCCRB>

前営業日終値 185.5385

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