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ドル下落、FRB当局者から世界経済巡り慎重な発言相次ぐ

2018年11月17日(土)07時44分

[ニューヨーク 16日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、米連邦準備理事会(FRB)当局者から世界的な経済成長について慎重な発言が相次いだことを受け、ドルが幅広い通貨に対して下落した。一方、欧州連合(EU)離脱を巡る懸念で下落していた英ポンドはこの日は対ドルで上向いた。

FRBのクラリダ副議長はCNBCのインタビューに対し、「世界的な減速を示唆する証拠はある」と表明。このほか、米金利はFRBが中立金利と見なす水準に近づいているとの見方を示し、「経済の現状、およびFRBの景気見通しを踏まえると、中立的であることは理に適う」と述べた。

市場ではクラリダ副議長の発言は、FRBがこれまで考えられていたよりも早い時期に利上げサイクルを終了させる可能性を示唆していると受け止められ、ドルは対ユーロで1週間ぶり、対円で2週間ぶりの安値を付けた。

この日はこのほか、ダラス地区連銀のカプラン総裁がフォックス・ビジネスに対し、世界的な成長は若干の向かい風になり、米経済も影響を受ける可能性があるとの見方を表明。クラリダ副議長とカプラン地区連銀総裁の発言でドル売りが触発され、ドル/ユーロは0.7%安の1.141ドル、ドル/円は0.7%安の112.82円となった。

マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニア投資アナリスト、チャック・トメス氏は 「一部FRB当局者がハト派的なスタンスを示したことで、ドルに圧力がかかった」としている。

この日はシカゴ地区連銀のエバンズ総裁も経済に対する将来的なリスクを指摘。ただ同総裁は、今後の米指標が予想よりも力強ければFRBはいわゆる中立金利を超えて利上げを実施する可能性があるとも述べた。

英ポンドは対ドルで0.42%高の1.2829ドル。ただ対ユーロでは0.31%安の88.945ペンスとなった。

ユーロに対しては、イタリアのコンテ首相が2019年予算案を巡り欧州連合(EU)に協力するとの期待感が支援要因となっている。

市場は米中通商問題にも注目。トランプ米大統領はこの日、中国が通商問題での合意を求めており、同国に追加関税を課す必要がなくなる可能性があるとの認識を示した。

人民元相場はオフショア市場で対ドルで0.13%高の6.92元となっている。

ドル/円 NY終値 112.82/112.85

始値 113.31

高値 113.36

安値 112.65

ユーロ/ドル NY終値 1.1418/1.1422

始値 1.1328

高値 1.1421

安値 1.1326

ロイター
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