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アングル:米中間選挙、影響を受けるトランプ政策と注目銘柄
11月1日、来週の中間選挙は今後の米政府政策に幅広い影響を及ぼし、その波紋はヘルスケアからハイテク、刑務所運営会社までさまざまな業種に広がりそうだ。写真は110月、ニューヨーク株式市場で撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid
[ニューヨーク 1日 ロイター] - 6日の中間選挙の結果は今後の米政府政策に幅広い影響を及ぼし、その波紋はヘルスケアからハイテク、刑務所運営会社までさまざまな業種に広がりそうだ。
投資家は選挙後の議会について、民主党が下院を、共和党が上院を制する「ねじれ」状態になると身構えているが、2016年の大統領選でトランプ氏が勝利する番狂わせが起きたことも忘れていない。
民主党は上院か下院のいずれかで過半数を取れば、トランプ氏の政策運営に対してより効果的に抵抗する機会が増えるだろう。
中間選挙後に予想される政府の政策動向と注目銘柄は以下の通り。
●ヘルスケア
中間選挙で最も関心を集めているセクター。トランプ政権が進める処方薬の価格引き下げの取り組みは、民主党が議会を掌握すれば注目度がさらに高まるだろう。
民主党が議会を制すれば、市場では米医療保険制度改革法(オバマケア)の適用範囲の拡大など軌道修正の期待が高まり、保険や病院運営などの銘柄にとって追い風になるかもしれない。
注目銘柄:メルク
●通商
中国をはじめとする諸外国と米国の通商紛争は、製造業など海外市場に依存する業種を痛打し、特に製造業が大きな打撃を受けている。
トランプ氏はカナダ、メキシコと北米自由貿易協定(NAFTA)見直しで合意したが、米議会の採決は新議会発足後の来年1月以降となる見通しだ。中間選挙で民主党が下院を握れば、合意が承認を得られない可能性は払しょくできない。
ハイト・キャピタル・マーケッツは「ヘッドラインリスクは、来年初頭にNAFTA見直し合意が破談になり、北米での開かれた貿易に依存する産業が痛みを被ることだ」とした。
注目銘柄:キャタピラー
●インフラ
橋梁や道路などインフラ向けの連邦支出の拡大は民主党の支持が得られそうで、民主党が議会を制した場合に両者共通の政策となりそうだ。建設や資材などの銘柄が買われるかもしれない。
ベアリングスのマクロ経済・地政学調査部門の責任者、クリストファー・スマート氏は、民主党はインフラ向け支出の増加とトランプ氏の得点稼ぎという2つの面でバランスを取る必要が出てくると述べた。
注目銘柄:グラナイト・コンストラクション
●ハイテク・通信
民主党が下院を握れば、反トラストや個人情報を巡るハイテク大手は規制面での風当りが強まり、株価が振れやすくなりそうだ。キャピタル・アルファ・パートナーズは9月のリポートで、「民主党はもはや無条件でハイテクセクターを守ろうとはしていないように思われる」と指摘した。
ただ、ハイト・キャピタル・マーケッツは議会勢力図の変化が「実際の政策に反映されることはない」とみている。また、通信セクターにとってのヘッドラインリスクは「ネット中立性規則」を巡る下院の動きだが、上院を共和党が握れば政策変更のリスクは小さいとしている。
注目銘柄:アルファベット
●金融
共和党が引き続き上下両院を制したり、議席を伸ばしたりすれば、投資家の間では金融業界で一段と規制緩和が進むとの期待が高まり、銀行株が上昇しそうだ。
一方キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズは、民主党が議会を握った場合のヘッドラインリスクとして公聴会の大幅な増加を挙げた。
注目銘柄:JPモルガン
●防衛
民主党が勢力を伸ばすと、国防費は連邦政府予算カットの対象となるかもしれない。
ベアリングスのスマート氏は「共和党が予想外の勝利を収めれば、当面は防衛セクターにとって支援材料になりそうだ」と述べた。
注目銘柄:ロッキード・マーチン
●収容施設運営
共和党が議会を制すれば、移民政策がさらに厳しくなるとの観測が強まるだろう。
その場合、収容施設などの需要が高まって、刑務所の空き施設の活用が進んだり、新設が必要になるとの期待が膨らむかもしれない。
注目銘柄:コアシビック
●銃器
民主党が議会で勢力を伸ばすと、銃器販売の規制強化を求める声が強まるだろう。ただ、その場合、規制強化を見込んで前倒しで銃を購入する動きが広がり、銃メーカーの株価は上昇するだろう。
注目銘柄:アメリカン・アウトドア・ブランズ