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アングル:10月の異変、米国株・債券「同時下落」の衝撃
10月31日、米国の株式と債券について片方が値下がりすればもう一方は上がるとの前提で両方に資金を投じていた人々にとって、今年の10月は異例なほど厳しい状況をもたらした。写真は30日、ニューヨーク証券取引所(2018年 ロイター/Brendan McDermid)
[ニューヨーク 31日 ロイター] - いわゆる「バランス型」投資が、もはや用済みだと宣言しても良い局面かどうかは分からない。しかしこの10月は、米国の株式と債券について片方が値下がりすればもう一方は上がるとの前提で両方に資金を投じていた人々にとって、異例なほど厳しい状況をもたらした。
それは株と債券が同時に下落したからだ。米国株の強気相場が始まろうとしていた2009年3月以降で、今回を含めてわずか12回しかこうした事態は起きていない。
債券はひどい値動きとなり、10年債利回りは一時7年半ぶりの水準まで高騰。株式も利回り上昇や米中貿易摩擦が響いて売り込まれた。
ジョンドロー・ウェルス・マネジメントの金融アドバイザー、マグダネラ・ジョンドロー氏は「通常なら株安局面では、投資家は株から債券に資金を移すという想定になる。(しかし)10月はそうならなかった」と話す。
ミューチュアル・ファンドや上場投資信託(ETF)の投資家は、株式と債券の双方から計140億ドル強の資金を引き揚げたことが、リフィニティブ傘下のリッパーのデータで分かる。
年内は投資家にとってさらに試練が続く。11月上旬には米中間選挙があり、その後米中通商協議が開かれ、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるつもりかどうかに関する手掛かりも極めて乏しいからだ。
ジョンドロー氏は、投資家が市場のボラティリティが景気後退を示唆するかどうか見極めようとしている上に、金利上昇が続いていることで債券に一段と資金を振り向ける動きを抑えていると指摘した。
債券と株式の同時下落は、リスク分散の意味で双方を保有している機関投資家やヘッジファンドにも打撃を与えている。