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貿易摩擦の影響、現時点で限定的 供給網複雑化で予測困難=日銀
11月1日、日銀は、10月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の全文を公表した。写真は会見する黒田総裁。10月に東京の日銀本店で撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)
[東京 1日 ロイター] - 日銀は1日、10月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の全文を公表した。その中で米中貿易摩擦の日本経済への影響を分析。現時点での影響は限定的だが、サプライチェーン(供給網)が複雑化する中で、企業としても影響の経路や規模について予測できない状況にあるとしている。
分析では、海外経済のリスクが顕在化したケースとして、08年から09年のリーマンショック前後、15年から16年の中国など新興国経済の減速と現在の局面を比較。具体的には、海外経済の変化をいち早く捉えることができるマインド関連指標の新規輸出受注PMIと日銀短観の業況判断DI、これらと関連性が高い実質輸出について動向を比べた。
その結果、PMIが「いく分低下」しているものの、業況判断DIは「良好な水準を維持している」と指摘。実質輸出は「足元はさえない動き」となっているが、これは「自然災害による供給制約が大きく影響している」という。
当時と比べて企業の設備投資計画も高い伸びが維持されており、こうした分析は「現時点で米中貿易摩擦の影響を受けている向きはさほど多くない」とする企業ヒアリングとも整合的とした。
ただ、貿易摩擦が激化する中で、企業は先行きに懸念を深めており、その影響についても「サプライチェーンが複雑なために試算できていない」との指摘が少なくないという。このため、貿易摩擦が影響を与える経路や規模について、「実際に受注が変調をきたすまではわからないということを示唆していると思われる」としている。
(伊藤純夫)