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スズキは通期利益予想を上方修正、7―9月期は「減速決算」
11月1日、スズキは、2019年3月期の連結営業利益が前期比6.5%減の3500億円となる見通しと発表した。従来予想から100億円上乗せする。写真はスズキのロゴ。昨年10月に東京で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 1日 ロイター] - スズキ<7269.T>は1日、2019年3月期の営業利益を従来予想から100億円引き上げた。過去最高益だった第1・四半期(4―6月期)の業績と為替前提の見直しを反映した。四輪・二輪の世界販売計画も上方修正した。
しかし、第2・四半期(7―9月期)は減収・営業減益で、「ブレーキがかかった『減速決算』だった」(長尾正彦常務役員)。欧州で9月から導入された排出ガス・燃費試験基準への対応に向けてハンガリーでの生産が減ったほか、インドルピーなど新興国通貨安が響いた。
修正後の今期営業利益は前期比6.5%減の3500億円となる見通し。リフィニティブがまとめたアナリスト22人の予想平均値4113億円を下回っている。
4―9月期は売上高が前年同期比5.4%増の1兆9294億円、営業利益は同14.8%増の1985億円で、収益とも同期として過去最高だったが、7―9月期は売上高が同2.1%減、営業利益は6.6%減だった。
会見した鈴木俊宏社長は「第1・四半期は非常にいい伸びをしたが、第2・四半期は売上高、営業利益とも非常にダウンしている」と振り返り、10月以降は「新興国の為替・金利の問題などを含め、特に慎重にやっていかないといけない。それ以外でも、欧米の動向をしっかりみていかないと、足元をすくわれかねない」と気を引き締めた。
今期の純利益予想は従来の2050億円から2200億円に上乗せし、売上高は従来予想の3兆8000億円を据え置いた。
<新興国通貨中心に円高方向に為替前提を見直し>
今期の前提為替レートは、新興国通貨を中心に円高方向へ見直した。為替による影響は、今期の営業利益に対し、期初には220億円の減益要因と想定していたが、修正後は400億円の減益要因となる。
1ドル=108円(従来は105円)、1インドルピー=1.56円(同1.65円)、100インドネシアルピアは0.77円(同0.78円)、1タイバーツ=3.35円(同3.30円)にそれぞれ修正した。1ユーロは従来の130円のまま。
<インドの四輪需要「まだまだ底堅い」>
主力のインド市場では、子会社マルチ・スズキの7―9月期は減益となった。原油高に伴う燃料費上昇や自動車保険の負担増などで販売が低迷。販促費の増大、原材料費の高騰や通貨安も利益を押し下げた。
7―9月期の販売は水害などの影響もあり、前年同期から約2000台減少した。今後も原油高や金利上昇など先行き不透明感は残るが、鈴木社長は、インドの四輪需要について「まだまだ底堅いところはあると思っている。107%ー109%前後で推移していくのではないか」との見方を示した。
今期の四輪の世界販売計画は従来から3万9000台増となる333万9000台とした。日本を2万2000台上乗せし、69万7000台とした。インドも従来の6%増から8%増に引き上げた。
日本では軽自動車「スペーシア」や登録車「クロスビー」など新型車が好調だった。鈴木社長は、完成検査の不正発覚後の販売状況について「把握できる形では、影響は出ていない」しながらも、「信頼を失っている部分は取り戻さないといけない」と話した。
今期の二輪の世界販売計画も6万2000台増の170万8000台に上方修正した。インドやインドネシアなどで伸びた。長尾常務役員は、「インドでの二輪シェアはそれほど大きくはないが、次の生産能力(増強)を考えたほうがいいくらいスクーターの伸びがいい」と語った。
*内容を追加しました。
(白木真紀)