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英公的部門財政収支、9月は赤字幅が縮小
[ロンドン 19日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が19日発表した9月の公的部門財政収支(国有銀行除く)は41億2300万ポンドの赤字で、赤字幅は前年同月の49億5800万ポンドから縮小し、エコノミスト予想(45億ポンド)を下回った。
8月の赤字も大幅に下方修正された。予算演説を10月29日に控えるハモンド財務相にとって朗報となるが、長期的な目標達成の助けにはならないとの指摘が出ている。
2018/19年度入りから6カ月(2018年4─9月)の公的
部門財政収支は199億ポンドの赤字で、前年同期から赤字幅が35%縮小。この時期としては2002年以来の低水準となった。
英国と欧州連合(EU)は離脱協定でまだ合意していないが、離脱が5カ月余り先に迫っていることから、財務相の予算演説で歳出の大幅な変更を予想するエコノミストはほとんどいない。
19日の財政収支統計では、歳出増加にもかかかわらず、付加価値税や所得税から税収が引き続き順調に伸び、赤字が縮小したことが示された。
財政赤字の対国内総生産(GDP)比は、2010年に前任のオズボーン財務相が数カ年の赤字削減プログラムに着手した際には9.9%だったが、英予算責任局は3月、今年度の赤字を371億ポンド、対GDP比1.8%と予想した。
<先行きは厳しく>
予算責任局(OBR)によると、EU離脱による影響よりもまず高齢化が今後、国家財政を圧迫する見通し。
KPMG(UK)のチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、今年度の財政状況が想定よりも良好で予算に多少のゆとりをもたらしても、ハモンド財務相の長期的助けにはならないとの見方。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、アンドリュー・ウィシャート氏は、2020年代半ばまでの赤字解消に向けた軌道にハモンド財務相が留まることはないとみている。
OBRは、今回の統計を踏まえると今年度末の財政赤字は3月時点の予想の371億ポンドを110億ポンド程度下回る可能性があるとしている。
ハモンド財務相は、将来、リセッションに陥った際に財政支出を大幅に拡大することが困難なほど高いとして、公的債務の国内総生産(GDP)に対する比率を着実に下げようとしている。
9月時点の公的債務は1兆7900億ポンドでGDP比84.3%。対GDP比率は前年同月の86.7%から低下したが、金融危機前の倍となっている。