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ユーロ圏の銀行、損失吸収力向上で進展不十分=EBA議長
10月15日、欧州銀行監督機構(EBA)のエンリア議長は、ユーロ圏の銀行は損失吸収に関する資本調達で十分な進展がみられず、一段と厳しい市場環境に直面する可能性があるとの認識を示した。写真はロイターのインタビューに応える同議長。昨年9月にロンドンで撮影(2018年 ロイター/Afolabi Sotunde)
[ブリュッセル 15日 ロイター] - 欧州銀行監督機構(EBA)のエンリア議長は15日、ユーロ圏の銀行は損失吸収に関する資本調達で十分な進展がみられず、ボラティリティーの高まりやソブリン債利回りのスプレッド拡大を背景に一段と厳しい市場環境に直面する可能性があるとの認識を示した。
国際的な銀行ルールや欧州連合(EU)の銀行ルールでは、大手銀行はTLACやMRELとして知られる特別な損失吸収債を発行しなければならない。この債券は危機時に中核資本バッファーが毀損した場合、資本に転換することができる。
エンリア議長はブリュッセルで開かれた銀行関連会議で「この分野で十分な進展がみられていない」と述べ、この問題は大規模および中規模の銀行に関わるものだと指摘。一方、ドイツ銀行やウニクレディトといった金融システム上重要な最大手銀行は基準達成に「極めて近い」とした。
ユーロ圏の銀行救済機関「単一破綻処理委員会(SRB)」のメンバーであるドミニク・ラブレイ氏はユーロ圏の大手銀行35グループの損失吸収バッファーについて、1250億ユーロ(1450億ドル)不足していると試算した。
エンリア議長は、今のところ投資家は損失吸収債の購入に関心を示しているものの、「チャンスはなくなりつつある」と警告。「資金調達市場はこれまでほどオープンで資金調達しやすい環境ではなくなるだろう」とし、投資家の意欲後退の主な理由としてボラティリティーの高まり、外部イベント、ソブリンスプレッド拡大、新興国市場を巡る懸念を挙げた。
ユーロ圏の銀行が域内の救済基金「単一破綻処理基金(SRF)」の資金にアクセスするためには、十分な水準の損失吸収バッファーを備えておくことが条件となる。
*内容を追加しました。