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中国の輸出、9月は予想上回る伸び 対米貿易黒字は過去最高

2018年10月12日(金)16時10分

 10月12日、中国税関総署が発表した9月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年同月比14.5%増となった。米国による関税拡大や中国企業の輸出受注減少の兆しにもかかわらず、市場予想を上回る堅調な伸びとなった。写真は上海の港で7月撮影(2018年 ロイター/Aly Song)

[北京 12日 ロイター] - 中国税関総署が12日発表した9月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年同月比14.5%増となった。米国による関税拡大や中国企業の輸出受注減少の兆しにもかかわらず、市場予想を上回る堅調な伸びとなった。

ロイターがまとめたアナリストの予想は前年比8.9%増で、8月(9.8%増)から伸びが鈍化するとみられていた。

9月の輸入は前年比14.3%増加。市場予想(15.0%増)をやや下回った。8月は19.9%増だった。

9月の貿易収支は316億9000万ドルの黒字で、黒字額は8月の278億9000万ドルから拡大した。市場予想は194億ドルの黒字だった。

中国の貿易は今年好調なスタートを切ったが、米国との貿易摩擦激化や内需の弱まりが経済見通しに影を落としている。

<元安が輸出支援か、今後下振れリスクも>

アナリストは、輸出の急増は長続きしないとの見方を示しているが、対米貿易黒字は過去最高となっており、トランプ政権の反発を招く可能性がある。

キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「貿易摩擦のエスカレートと世界経済の減速にもかかわらず、中国の輸出は非常に底堅く推移してきた。これは、元安に伴う競争力向上が理由である可能性が高い」と指摘。

「世界経済は今後数四半期で減速するとみられ、米国の関税も厳しさを増していく。最近の輸出の底堅さは維持できない可能性が高い」との見方を示した。

は今年、対ドルで約6%下落している。

中国の輸出が予想以上に底堅いことについては、中国企業が、米国の関税発動を控えて、輸出を前倒しで増やしたのではないかとの見方も出ている。関税の発動に伴い、今後、輸出が大幅に伸び悩む可能性も考えられる。

ANZ(香港)の中国担当シニアエコノミスト、ベティ・ワン氏によると、米国向けの最大の輸出品目である電気機器の輸出が急増しており、「前倒しの影響は非常に明らか」という。

電気機器の他にも、繊維・家具・半導体の輸出ペースが加速している。

ワン氏は「もしそうだとすれば、第4・四半期の下振れリスクが予想できる」と述べた。

中国税関総署のスポークスマンも、第4・四半期の貿易がやや減速するかもしれないとの見方を示している。

<対米貿易黒字、過去最高>

9月の対米貿易黒字は341億3000万ドルと、8月の310億5000万ドルから拡大し、過去最高となった。

9月の世界全体との中国の貿易収支は316億9000万ドルの黒字で、黒字額は対米の方が大きかった。

中国の1─9月の対米貿易黒字は2257億9000万ドル。前年同期は約1960億1000万ドルだった。

中国の大幅な対米貿易黒字は、米中貿易摩擦を巡る議論の中心となっている。

*内容を追加しました。

ロイター
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