ニュース速報

ビジネス

貿易・通貨戦争が世界成長を阻害、ラガルド氏「罪なき非当事国多い」

2018年10月12日(金)00時13分

 10月11日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事(写真)は、人民元について、相場変動の柔軟性を引き続き高めていくべきだとするIMFの勧告に中国政府が従っていくことを期待していると述べた。10日にバリ島で行われたIMF・世銀総会で撮影。提供写真(2018年 ロイター/Antara Foto)

[ヌサドゥア(インドネシア) 11日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は11日、貿易戦争や通貨戦争が世界の成長を阻害し、「罪のない非当事国」を傷付けかねないとした上で、各国が貿易摩擦を巡る緊張を緩和し、世界の貿易ルールを放棄するのではなく修正するよう訴えた。

ラガルド氏は、IMF・世界銀行年次総会の開催地であるインドネシアのバリ島で「貿易戦争にも通貨戦争にも進んでいかないよう確かに望んでいる。いずれもすべての当事国にとって弊害がある」と指摘。インドネシアなど中国への物資供給国を含め「罪のない非当事国も大勢いる」と語った。

最近の中国人民元の下落については、主としてドル高によるものと説明し、通貨バスケットに対してはさほど下落していないとの認識を示した。また、相場変動の柔軟性を引き続き高めていくべきだとするIMFの勧告に中国政府が従っていくことを期待しているとした。

ラガルド氏は「中国を含め、一段と多くの国々が自国通貨の変動を容認するようになっている」と指摘。「われわれは(通貨の)柔軟性に向けた中国の動きを支持してきた」とし、IMFは中国当局が「その道を進んでいくこと」を奨励していると述べた。

貿易摩擦を巡る懸念が広がる中、人民元は今年3月から8月までに8%強値下がりした。ただその後は当局の政策対応もあり、下げ渋っている。

ラガルド氏は、貿易摩擦が拡大する中、中国当局は成長や安定性、投資家の信頼感の維持に向け対策を講じているとする一方、財政状況をコントロールする上で「微妙な」舵取りを迫られているとの考えを表明。「中国当局は、経済を管理下に置ける成長水準を維持するため、間違いなく様々な選択肢を検討していると思う。利用できる柔軟性を活用しつつ、財政収支にも大きく配慮しなければならない」と話した。

米国株式相場が前日に800ドル強急落したことをきっかけに、この日は日経平均株価<.N225>が一時1000円を超える大幅な値下がりを記録したほか、中国株も下げがきつい展開となった。専務理事はこうした直近の市場の動揺についてコメントを避ける一方、米国株や全般的な株価は「総じて極めて高い水準にあった」と指摘した。

その後CNBCとのインタビューでは、トランプ米大統領が利上げを続ける米連邦準備理事会(FRB)は「狂ってしまった」と述べたことについて、パウエルFRB議長と「クレイジーさ(狂気)」は結びつかないとした上で、同議長や他の政策担当者は極めて真面目かつ堅実で、実際の情報に基づいて決定を下そうとしているのは確実だと述べ、中銀はその機能において独立性を保つべきとの考えを示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

MAGAZINE

特集:弾圧中国の限界

2019-6・25号(6/18発売)

ウイグルから香港、そして台湾へ──強権政治を拡大し続ける共産党の落とし穴

人気ランキング

  • 1

    嫌韓で強まる対韓強硬論 なぜ文在寅は対日外交を誤ったか

  • 2

    タンカー攻撃、イラン犯行説にドイツも異議あり

  • 3

    石油タンカーが攻撃されても、トランプが反撃しない理由

  • 4

    未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会

  • 5

    本物のバニラアイスを滅多に食べられない理由――知ら…

  • 6

    年金問題「老後に2000万円必要」の不都合な真実

  • 7

    老後資金二千万円問題 100年あんしん年金の最大の問…

  • 8

    難民を助ける「英雄」女性船長を、イタリアが「犯罪…

  • 9

    「香港は本当にヤバいです」 逃亡犯条例の延期を女…

  • 10

    アメリカの衛星が捉えた金正恩「深刻な事態」の証拠…

  • 1

    ファーウェイ、一夜にして独自OS:グーグルは米政府に包囲網解除を要求か

  • 2

    未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会

  • 3

    香港大規模デモ、問題の「引き渡し条例」とは何か?

  • 4

    厳罰に処せられる「ISISの外国人妻」たち

  • 5

    タピオカミルクティー飲み過ぎで病院!? 中国の14…

  • 6

    日本の女性を息苦しさから救った米国人料理家、日本…

  • 7

    自撮りヌードでイランを挑発するキム・カーダシアン

  • 8

    「ゴースト」「ドイツの椅子」......ISISが好んだ7種…

  • 9

    日本の重要性を見失った韓国

  • 10

    アメリカの衛星が捉えた金正恩「深刻な事態」の証拠…

  • 1

    サーモンを愛する「寿司男」から1.7mのサナダムシ発見

  • 2

    台湾のビキニ・ハイカー、山で凍死

  • 3

    マイナス40度でミニスカ女子大生の脚はこうなった

  • 4

    現代だからこそ! 5歳で迷子になった女性が13年経て…

  • 5

    プラスチック製「人工子宮」でヒツジの赤ちゃんが正…

  • 6

    タピオカミルクティー飲み過ぎで病院!? 中国の14…

  • 7

    貧しい人ほど「割増金」を払い、中・上流は「無料特…

  • 8

    アメリカの衛星が捉えた金正恩「深刻な事態」の証拠…

  • 9

    トランプ、エリザベス女王にまたマナー違反!

  • 10

    脳腫瘍と思って頭を開けたらサナダムシだった!

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

英会話特集 資産運用特集 グローバル人材を目指す Newsweek 日本版を読みながらグローバルトレンドを学ぶ
日本再発見 シーズン2
広告営業部員ほか求人情報
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
CHALLENGING INNOVATOR
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

絶賛発売中!