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独産業連盟、今年の成長率・輸出予想引き下げ 米通商政策など影響
9月25日、ドイツ産業連盟(BDI)は、2018年の国内経済成長率の見通しを引き下げたと発表した。写真はドイツのジンデルフィンゲンにある自動車工場で1月撮影(2018年 ロイター/Ralph Orlowski)
[ベルリン 25日 ロイター] - ドイツ産業連盟(BDI)は25日、2018年の国内経済成長率の見通しを引き下げ、景気が低迷する可能性があるとの見解を示した。米通商政策や英国の欧州連合(EU)離脱を受けたドイツ輸出に対する需要の低下や、国内の排外主義が経済に与える脅威が背景にあるとした。
BDIのディーター・ケンプ会長は放送局DLFに対し、2018年の成長率が2.0%になると予想していると述べた。従来の見通しは2.25%だった。
輸出の伸びの見通しは実質ベースで3.5%とし、従来の5%から下方修正した。
ケンプ氏は、国家主義の拡大がドイツ経済に悪影響を与える可能性があると警告した。東部ケムニッツでは暴力的な抗議活動が発生した。
「外国企業の投資と他国出身の熟練労働者の融合は経済成長と雇用に大きく貢献する。われわれの社会は開かれており、今後もそうあり続けたい」とした。外国のものをすべて敵視する姿勢は誤っているとし、「開放性に基づくわれわれの産業の事業モデルにとって脅威となり、繁栄と雇用を危険にさらしている」と指摘した。
ドイツ経済は9年にわたり成長し、今後も拡大を続ける可能性があるものの、ケンプ氏は景気低迷の可能性について準備する必要があるとし、「今、予防策を講じなければならない」と語った。
ケンプ氏は、トランプ大統領の通商政策や英国のEU離脱が近づいていることが、世界全体の投資活動とドイツの輸出を抑制しているとの考えを示した。
同氏は、世界経済の回復はピークに達し、ドイツで生産される機械設備への需要が以前より旺盛ではなくなっていると指摘。その一方で、「保護主義的な措置が講じられ、ドイツの企業はリスクに直面している。たとえこうした措置が中国を対象としたものであってもだ」と述べた。
ドイツにとって中国は最も重要な貿易相手国で、米国は最大の輸出先であることから、米中間の関税の応酬はドイツの輸出にも影響を与えることになる。
ケンプ氏は「米中は至急、摩擦を緩和する必要がある」とし、世界貿易機関(WTO)のルールの枠組みを強化し監視メカニズムを改善すべき時期だとの考えを示した。
ケンプ氏は「米中貿易摩擦の激化は当然ながら、欧州、特に輸出に大きく依存するドイツの産業に打撃を与える」と述べた。
現時点では貿易摩擦はドイツ企業に大きな影響を及ぼしていないものの、深刻な不透明感をもたらしていると語った。
BDIのマネジングディレクター、ヨアヒム・ラング氏は、EU離脱を巡る最近の英国の決定は危険だとし「ダメージを引き起こす」と警告した。
BDIは、法人税の引き下げ、教育やデジタルインフラの分野での公共投資の拡大、またEU内でのサービス、エネルギー、デジタル事業などの分野のルールの一致を求めた。
*内容を追加しました。