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NY市場サマリー(21日)

2018年09月22日(土)07時07分

[21日 ロイター] - <為替> 英国が条件などで合意しないまま欧州連合(EU)を離脱するとの懸念が高まったことを背景に英ポンドが下落した。

オーストリアのザルツブルクで開かれていたEU首脳会議から一夜明けた21日、英国のメイ首相はEU首脳は自身が示した提案を十分に説明することなく拒否したと指摘。離脱交渉は行き詰っているとの認識を示し、EUは離脱を巡る代替案を示す必要があると訴えた。また、条件などで合意した上で離脱するのが最善としながらも、望ましくない合意の上で離脱するよりは、合意がないまま離脱する方が望ましいとの考えも示した。

これを受け、英ポンドは1.44%下落。1日の下落率としては2017年6月以来最大となる可能性がある。

英ポンドが下落したことでドルは押し上げられ、終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数<.DXY>は0.38%高の94.255。ただこのところ株価上昇などを受けたリスク選好度の改善を反映しドルは軟調となっており、週間としての下落は2月以来最大となる可能性がある。

通商を巡る懸念が後退し、トルコ中央銀行を初めとする新興国中銀が自国通貨の安定に向けた措置を導入する中、ユーロに買いが入り、欧州取引時間帯でユーロは対ドルで約3カ月ぶりに1.18ドル台に乗せた。ただその後ドルが上向いたことで、ユーロは下落。終盤の取引で1.174ドルとなっている。

ドル/円は112.62円。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 英国の欧州連合(EU)離脱交渉の勢いが失速したとの見方が広がり、長期国債利回りは欧州債券に追随して低下した。

ただ2年債利回りは世界情勢の影響を受けず、来週の米利上げ観測を背景に一時10年ぶり高水準を付けた。

英国のメイ首相が対EU交渉について厳しい評価を示し、離脱問題が市場の関心を集めた。

メイ氏は、自国を解体したり、国民投票の結果を軽視したりしないとし、望ましくない合意で離脱するより、合意がないまま離脱する方が望ましいとの考えを示した。

メイ氏の発言を受け、英10年債利回りが1.548%と前日の1.586%から低下、ドイツ10年債利回りも前日の0.479%から0.461%に下がった。

米国債利回りもつられる形となり、10年債利回りが午後の取引で3.068%と、前日終盤の3.078%から低下した。

30年債利回りは3.204%と、こちらも前日の3.214%から下げた。

一方、2年債利回りは2.808%で、前日水準から変わらず。一時は2.825%と10年強ぶりの水準まで上昇する場面があった。

債券市場では、来週の追加利上げを予想する声が広がっている。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> ダウ工業株30種<.DJI>が連日で最高値を更新。貿易摩擦を巡る懸念が和らぎ、ボーイングなどの工業株が上昇を主導した。

大規模なS&P総合500種のセクター分類変更を週明け24日に控え、商いは活況となり、出来高は2月9日以来の高水準となった。また、オプションや先物の決済日が重なる「クアドルプル・ウィッチング」に当たったことも出来高押し上げにつながった。

一方、ナスダック総合<.IXIC>とS&P総合500種<.SPX>は下落して取引を終えた。週足では、ダウとS&Pが上昇。ダウの週間上昇率は約2カ月ぶりの高さとなった。ナスダックは下落した。

金融株<.SPSY>は下落。米連邦準備理事会(FRB)が来週利上げを実施することが予想されているものの、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る懸念から米長期債利回りが低下したことを受けた動き。

通信株<.SPLRCL>は1%上昇。24日から従来の「情報技術」セクターは「通信サービス」セクターに衣替えし、フェイスブックやウォルト・ディズニーなどの大型株は新セクターに含まれることになる。

主要ハイテク株「FAANG」銘柄は総じて下落。アップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベットは1.1─1.9%安。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 対ユーロでのドル高を背景に割高感から売られ、反落した。中心限月12月物の清算値は前日比10.00ドル(0.83%)安の1オンス=1201.30ドル。 外国為替市場では、対ユーロでドル高が先行した。ドル建てで取引される金塊などの商品の割高感につながり、金塊が売られた。また、主要金融機関が金の価格見通しを引き下げたことも売りを誘ったとの見方もあった。

ただ、市場は25、26両日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて 徐々に様子見ムードも広がり、昼前からは狭いレンジで小動きとなった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> 石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟国の会合を23日に控え、増産をめぐる思惑から売り買いが交錯して上下動した後、堅調となった。この日から中心限月に繰り上がった米国産標準油種WTI11月物の清算値は前日比0.46ドル(0.65%)高の1バレル=70.78ドル。12月物の清算値は0.31ドル高の70.37ドル。 朝方は買いが先行し、72ドル台を試す展開。OPEC加盟・非加盟の産油国が23日にアルジェリアで開催する会合では、増産に関して公式な合意には達しないとの観測が原 油買いを後押しした。

ただ、昼前にこの流れは反転。関係筋の話として、OPEC加盟・非加盟国がイラン産原油の供給減を相殺するため、日量50万バレルの増産を検討しているとの報が伝わると、市場は売りで反応。米国による対イラン制裁の再発動を11月に控えて、原油価格上昇の抑制を求める圧力が強まる中、主要産油国が増産に動くのではないかとの警戒感が浮上したため、相場は節目の70ドルを割り込み、一時69.88ドルまで下落した。しかし、その後は値頃感から買い戻しが入り、プラス圏を維持した。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

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