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8月米小売売上高は半年ぶり小幅増、今月利上げ観測変わらず
[ワシントン 14日 ロイター] - 米商務省が14日発表した8月の小売売上高は前月比0.1%増と、2月以来6カ月ぶりの小幅な伸びにとどまった。自動車や衣料の売り上げが減り、全体の伸びを抑制した。市場予想は0.4%増だった。
7月の数字は当初発表の0.5%増から0.7%増へ上方改定された。8月は緩慢な伸びとなったものの、7月の数字が上方改定されたことで、第3・四半期に経済が底堅く伸びたとの見方は変わらず、米連邦準備理事会(FRB)が今月開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測を変更させるには至らなかった。
MUFGの首席エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米経済は順風満帆な状況にあり、拡大に歯止めをかけるようなインフレ圧力はみられない」と述べた。
8月の減速は、ガソリンの値上がりに伴い消費者がその他の支出を控えていることを示唆する。
8月の前年同月比は6.6%増だった。
自動車やガソリン、建材、食品サービスを除いたコア売上高は前月比0.1%増だった。7月の数字は当初発表の0.5%増から0.8%増へ上方改定された。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も近いとされる。8月は予想に反して減速したものの、労働市場の引き締まりによる賃金の安定的な伸びが個人消費を下支えしている。
8月は賃金の伸びが前年同月比で9年超ぶりの大幅な伸びとなった。7月の求人件数は690万件と、過去最高水準を付けた。個人消費はまた、減税政策や貯蓄の増加も追い風となっている。
PNCフィナンシャルの首席エコノミスト、ガス・フォーチャー氏は「消費支出は年内から来年にかけてしっかりとした足取りで拡大を続け、経済成長全体を支えるだろう」と述べた。同時に、関税措置は下振れリスクと指摘。「輸入品に対する関税措置は国内の価格上昇につながり、消費者は支出に一段と慎重となる」との認識を示した。
経済は第3・四半期と通年ともに底堅く伸びることが見込まれるが、米中貿易摩擦の高まりが長期見通しに影を落とす。トランプ大統領は前週、新たに2670億ドル相当の中国製品に輸入関税を課すと発言。別途2000億ドル規模の中国製品に対して、関税を課す準備ができており、トランプ氏の判断で発動する状況だ。米国はこれまでに500億ドルの中国製品に関税を課しており、中国も報復措置に出た。
第2・四半期GDPは年率で4.2%増と、4年近くぶりの大幅な伸びだった。第1・四半期GDP(2.2%増)の2倍近いペースだ。第3・四半期GDPの予想は3%を超える。
8月の小売売上高の内訳は、自動車が前月比0.8%減。7月は0.1%減だった。ガソリンスタンドは1.7%増。ガソリンの値上がりを反映したとみられる。米エネルギー情報局(EIA)によるとガソリンは今年に入り、1ガロン当たり約32セント値上がりした。
衣料は1.7%減と、2017年2月以来の大幅な落ち込みとなった。7月は2.2%増加していた。
オンライン小売は0.7%増。7月は1.5%増加していた。外食は0.2%増。家具は0.3%減だった。建材は横ばい。運動・娯楽は0.2%増だった。