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欧州市場サマリー(3日)

2018年09月04日(火)04時47分

[3日 ロイター] - <外為市場> 主要6通貨に対するドル指数<.DXY>が1週間ぶり高値付近で推移した。世界貿易を巡る緊張状態や、新興国市場で続く売りを背景に、ドル需要が強まった。

トランプ米大統領は1日、北米自由貿易協定(NAFTA)にカナダをとどめる必要はないとツイッターに投稿した。また、議会は通商協議に干渉すべきでないと主張し、「そうでなければNAFTAは終わることになる」とけん制した。

ドル指数は横ばいの95.12と、8月27日以来の高値水準近辺で推移した。貿易を巡る緊張が最初に高まった4月半ば以降7%近く値上がりしている。

ポジションベースではドル高予想が根強い。米商品先物取引委員会(CFTC)が公表したデータを基にロイターが算出したところ、ドル買い越し額は縮小したものの、前週に付けた約1年半ぶりの高水準からわずかに離れたところにある。

新興国市場を巡る不安も広がっている。アルゼンチンペソが対ドルで4%強下落、トルコリラは2%安。

またインドネシアルピアが20年ぶりの安値、インドルピーは過去最安値を付けた。

INGのアナリストらは「今週もドルが新興国通貨に対して堅調に推移することになりそうだ」「7日公表の米雇用統計が底堅い内容となれば、ドルは対新興国通貨で一層強含むだろう」と見通した。

ユーロは対ドルで0.11%安。IHSマークイットが発表した8月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が21カ月ぶり低水準となったことを嫌気した。世界的な貿易摩擦の激化に対する懸念が強まり、楽観的な見方が後退した。

英国の欧州連合(EU)離脱交渉を巡る懸念が再燃したほか、8月の英製造業購買担当者景気指数(PMI)がさえず、英ポンドの下げが目立った。

また欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は、離脱後の貿易関係に関する英国政府の提案に強く反対する立場を表明した。

ポンドは対ドルで0.8%安の1.2855ドル、ユーロに対しても0.8%値下がりして89.80ペンス。

<ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。ポンド安や堅調な商品株が追い風となり、欧州株をアウトパフォームした。

中小型株で構成するFTSE250種<.FTMC>は横ばいとなった。

石油関連株の上昇がFTSE100種<.FTSE>に21ポイント強寄与し、セクター別で最大の押し上げ要因となった。

原油高に伴い、 ロイヤル・ダッチ・シェルとBPがそれぞれ1.9%、1.2%値上がりした。

英鉱業株も上昇し、グレンコア、BHPビリトン、アングロ・アメリカンが一時1.9%まで値上がりした。

動物用医薬品のデクラ・ファーマシューティカルズが21%超安と、中型株で下げが目立った。1日では2003年1月以来の大幅安を記録した。合意なき英国の欧州連合(EU)離脱に備えた計画を実施する方針を公表。これに伴い追加費用発生の可能性を示し嫌気された。

<欧州株式市場> 小動き。米通商政策のほか、新興国市場を巡る懸念が重しとなった。

米国市場がレーバーデーで休場し、商いは低調だった。

IHSマークイットが発表した8月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は21カ月ぶり低水準となったが、市場はほとんど反応しなかった。

この日のロンドン株式市場は反発。ポンド安や堅調な商品株が追い風となり、欧州株をアウトパフォームした。

フィッチ・レーティングスが8月31日、イタリアの格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げたが、イタリア銀行株は底堅かった。

値動きが目立ったのは動物用医薬品のデクラ・ファーマシューティカルで21%超安。合意なき英国の欧州連合(EU)離脱に備えた計画を実施する方針などを公表し、嫌気された。

ベルギーのおむつメーカー、オンテックスが19.5%安。プライベートエクイティ(PE)会社、PAIパートナーズが示した発行済み株式買収提案について、自社を過小評価しているとして受け入れを拒否した。

好調さが目立ったのは、オランダのオフショアエネルギー企業、SMBで10.7%上昇した。不適切とされた営業慣行を巡り、ブラジルで和解したことを明らかにし、好感された。

フランスの小売り大手カジノは、2018年目標を確認したことを受け一時4%上昇したが、その後3%安で引けた。

フランスの製薬大手サノフィは1.1%高。ナノボディを使った血液凝固障害治療薬が欧州で承認された。

<ユーロ圏債券> イタリア国債利回りが前週末に付けた3カ月ぶりの高水準から低下した。政府の主要閣僚らが来年度予算について、欧州連合(EU)の財政規律を逸脱しない見込みだと発言したことを受けた。

イタリア国債は変動の激しい取引となったものの、トリア経済・財務相が財政赤字について国内総生産(GDP)比2%以下に維持するよう連立与党に働き掛けていると伝わったことを受け、利回りが低下して終了した。

またサルビーニ副首相はこの日、赤字はGDP比3%付近となるが超えることはないとの認識を示していた。

アナリストによると、こうした報道のほか、格付け会社フィッチ・レーティングスが先月31日にイタリアのソブリン格付けを「BBB」に維持したことが利回り低下につながったという。見通しは「ネガティブ」に引き下げられた。

みずほのストラテジスト、ピーター・チャットウェル氏は「米国がレーバーデーで休場のため相場は変動しやすく、決定的なニュースが出るまではこうした相場が続くだろう」と指摘した。

イタリア10年債利回りは5ベーシスポイント(bp)低下し、3.185%で取引を終了。前週末は3カ月ぶり水準の3.25%を付けていた。

2年債利回りは9bp下げ、1.40%となった。

DZ銀行の金利ストラテジスト、ダニエル・レンツ氏は、フィッチの格付け見直しについて「すでに織り込まれていた見通しの引き下げだけで済み、イタリアは恩恵を受けている」との見解を示した。

ただアナリストからは、EU財政規律を巡り政権幹部らが相反する発言をしていることに市場は警戒しており、イタリア国債買いが短命で終わる可能性もあるとの声も出ている。

ディ・マイオ副首相は2日、自党の公約である低所得層向けの「ユニバーサル・インカム(最低所得保障)」を2019年に導入する必要があると述べた。

このほかのユーロ圏債券利回りは、貿易摩擦や新興国通貨下落によるリスク回避でこのところの低水準で推移。ドイツ10年債利回りは1週間ぶり低水準に近い0.34%となった。

ロイター
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