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欧州市場サマリー(31日)
[31日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 続落。ポンド高と米中貿易戦争への懸念が相場の重しとなった。
FTSE100種は月間ベースで3年ぶりの大幅安となった。
トランプ米大統領が、2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税を発動させる意向との報道を受け、貿易摩擦を巡る懸念が高まった。そのほかトランプ氏は、自動車関税を撤廃するとの欧州連合(EU)の提案を拒否した。
金融や一次産品などの景気循環株の値下がりが目立った。
一方、飲食店・ホテルチェーンを展開するウィットブレッドは14.3%上昇し、2015年12月以来の高値を付けた。傘下の英コーヒーチェーン大手コスタを51億ドルで米飲料大手コカ・コーラへ売却することで合意したことが好感された。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。米トランプ大統領が中国にさらなる関税措置を取るとの報道で、貿易摩擦への懸念が再浮上した。
STOXX欧州600種指数は月間ベースで2.39%低下し、2月以来の大幅な値下がりとなった。
貿易動向に左右されやすい輸出銘柄が多いドイツのクセトラDAX指数は1.04%低下した。
トランプ氏はまた、自動車関税をゼロにするという欧州連合(EU)の提案を拒否。自動車・部品株指数は1.55%低下し、部門別で最も軟調だった。欧州委員会のユンケル委員長は、米国が自動車の追加関税を発動した場合には同様の措置を取ると述べた。
会計ソフトのセージ・グループ7.8%下落した。最高経営責任者(CEO)が来年5月に退任するとの発表が嫌気された。
<ユーロ圏債券> イタリア国債利回りが短期債から長期債にわたり約3カ月ぶりの水準に上昇した。格付け見直し発表を取引終了後に控え警戒感が高まる中、同国の政府高官が必要に迫られれば欧州連合(EU)の財政規律を順守できない可能性があると述べたことで、イタリア国債に対する弱気な見方が強まっている。
イタリア連立政権を構成する「同盟」の幹部、ジャンカルロ・ジョルゲッティ氏はこの日、インフラ設備の安全性を高めるために追加的な支出が必要となった場合、イタリアの赤字は来年、EUが定める水準を上回る可能性があると述べた。
大和キャピタルマーケッツの経済調査部門責任者、クリス・シクルナ氏は「こうした発言が出てきたことを受け、市場ではイタリアが懸念材料であることが改めて認識された」としている。
イタリア国債利回りは短期債から長期債にわたり約3カ月ぶりの水準に上昇。2年債利回りが1.46%と12ベーシスポイント(bp)上昇したほか、5年債利回りは2.58%、10年債利回りは3.25%に上昇した。10年債利回りの8月の上昇幅は50bpを超える見通しとなっている。
格付け会社フィッチ・レーティングスはこの日の取引終了後にイタリアの格付け見直しの結果を発表する。現在の格付けは「BBB」、格付け見通しは「安定的」となっている。
アナリストの間では、イタリア連立政権は財政計画の詳細をまだ発表していないため、フィッチは現時点では格下げは行わないとの見方が大勢となっている。ただ、格付け見通しが「ネガティブ」に変更される可能性は否定されていない。
イタリアの格付けを巡ってはムーディーズ・インベスターズ・サービスが前週、格下げ方向での見直し期間を延長すると発表している。
アバディーン・アセット・マネジメントの投資マネジャー、パトリック・オドンネル氏は「一部アナリストは将来的な格下げがすでに織り込まれているとの見方を示している」と指摘。ブルージェイ・アセットマネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、マーク・ダウディング氏は「イタリアを巡っては過度に弱気な見方がまん延しており、利回り格差はユーロ圏崩壊のリスクを過度に織り込んでいるように見える」と述べた。
イタリアとドイツの利回格差は291bpと、2013年以来の水準に拡大している。
その他のユーロ圏国債利回りは1─2bp低下。EU統計局発表の8月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値が前年比2.0%上昇と、7月の2.1%上昇から伸びが鈍化したことを反映した可能性がある。