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米中ハイテク株の選好鮮明に、新興国株はショート=BAML

2018年08月15日(水)10時34分

 8月14日、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)のファンドマネジャーに対する月次調査によると、世界の投資家は依然、米国および中国のハイテク株に対し圧倒的に強気な一方、新興国株を売り持ちとしている。NY証券取引所で4月撮影(2018年 ロイター/Lucas Jackson)

[ロンドン 14日 ロイター] - バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAML)のファンドマネジャーに対する月次調査によると、世界の投資家は依然、米国および中国のハイテク株に対し圧倒的に強気な一方、新興国株を売り持ちとしている。

8月調査によると、最も人気が高い取引は7カ月連続で「FAANG(フェイスブック、アマゾン・ドットコム、アップル、ネットフリックス、グーグル)とBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント<0700.HK>)のロング」だった。

フェイスブックやツイッターの株価が前月、軟調な決算を受けて下落したことで、米国や中国の株価上昇の主な要因だった大手ハイテク銘柄への懸念が浮上したものの、同部門は人気を保っている。

次いで人気の取引が新興国株の売り持ちという結果だった。

調査はトルコリラがドルに対して16%急落する直前の8月3─9日に実施された。

新興国株の投資判断はやや「アンダーウェート」だった。ただBAMLは、これまでの新興国危機の最悪期ではアンダーウェート指数がマイナス27まで低下したことに対し、今回はマイナス1であると指摘し、今後投資家が新興国株の配分をさらに減らす可能性があると述べた。

世界的なリスクとして投資家らは3カ月連続で、貿易戦争が最大の懸念事項とした。

また投資家らは、米連邦準備理事会(FRB)の政策を受け世界的に金融情勢が引き締まっていくことを見込んでいる。54%が国債をアンダーウェートとしている一方、20%が世界的な大手銀行をオーバーウェートとしている。銀行は金利上昇の恩恵を受けるため。

世界的に見て投資家は8月に現金の配分を4.7%から5%へ引き上げ、総じて慎重になっていたことを示す。一方、企業利益見通しは前向きで、5%が利益は改善すると回答した。

欧州のファンドマネジャーは比較的強気だった。現金の配分は5%から4.3%へ低下した。経済成長が加速すると回答した欧州の投資家は4月以来の多さだった。向こう12カ月で景気後退に陥るとの回答は過去で2番目に少なかった。

米企業の利益が好調な中、米国株のオーバーウェートは2015年1月以来の高水準となり、米国は5年ぶりに株式で最も人気の高い地域となった。

企業利益において米国が最も有利な地域だとした回答者は67%に上り、17年ぶりの高水準だった。

一方、英国株ファンドからは資金が流出した。配分の減少幅は月次ベースで16年5月以来の大きさだった。英国の欧州連合(EU)離脱を巡り合意なしの無秩序な離脱への不安が高まったためだ。

ユーロ圏株への配分は7カ月ぶりに増えた。

S&P総合500種のボラティリティーを示すVIX<.VIX>(恐怖指数)は8月9日に1月以来の低水準を付けた。ボラティリティーをロングにすることは逆張りの投資と言える。BAMLはまた、「BRICロング/FAANGショート」と「国債ロング」もまた逆張りの投資と位置付けた。

*見出しを修正しました。

ロイター
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