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NY市場サマリー(13日)

2018年08月14日(火)07時37分

[13日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場では、トルコリラの下げが続く中、新興国通貨への売りが膨らんだほか、ユーロも軟調となった。

トルコリラは対ドルで7リラ台に値下がり。トルコ中央銀行が金融システムへの流動性供給策を発表したことなどを受け下げ渋る場面も見られたものの、売り圧力が続いている。

新興国通貨では、南アランドが一時10%強急落。ただその後は2.4%安まで持ち直した。インドルピーは最安値を更新。メキシコペソも1.4%安となった。

市場では、トルコと米国の関係悪化に加え、エルドアン大統領が経済への統制を強めていることなどへの不安は根強いものの、他の新興市場危機と比べると相場への影響はそれほど大きくないとの指摘が聞かれる。

レイモンド・ジェームズ(テネシー州)のシニア市場ストラテジスト、エリス・ファイファー氏は「引き続き注視が必要な状況ではあるが、リスク市場での損失はそれほど膨らまずに済むのではないか」と述べた。

<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが長期債を中心に一時4週間ぶりの低水準を付けたものの、その後上向いた。トルコ中央銀行が流動性供給策を発表したことでトルコリラの急落による世界的な影響への懸念が和らいだことが背景。

トルコリラの急落を受け、トルコ中銀はこの日、リラ建ての預金準備率をすべての期間に対し250ベーシスポイント(bp)引き下げるとともに、非中核的な外貨建て債務に対する預金準備率を、期間3年までを対象に400bp引き下げたと発表した。アナリストはこれにより市場心理が全般的に改善したとしている。

ただ一部アナリストは、安全資産と見なされる米資産は今もなお世界的な緊張の高まりで恩恵を受ける状況にあるため、トルコ危機によりそれほど大きな影響は受けないとの見方を示していた。BMOキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)の米金利戦略部門責任者、イアン・リンゲン氏は「(トルコ問題による)影響の波及は限定的なものとなることを示す多くの理由を挙げることができる」としている。

10年債利回りは一時2.848%と、4週間ぶりの低水準を付けたが、午後の取引では2.878%と、前週10日の2.859%から上昇している。

30年債利回りも一時3.011%と4週間ぶりの低水準を付けたが、その後は3.047%と、10日の3.017%から上昇した。

<株式> 米国株式市場は続落。トルコリラ急落に伴う世界的な不安が波及した。ダウとS&P500は4営業日続落となった。

トルコ危機波及への懸念から金融株が売られ、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)、JPモルガン・チェースは0.8─2.3%安で引けた。

トルコ中央銀行はこの日、金融システムへの流動性供給策を発表したが、リラへの売り圧力は続いている。

投資家の不安心理の目安とされるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は3営業日連続で上昇し、約1カ月ぶりの高水準となった。

一方、アップルは一時過去最高値を付け、0.6%高で取引を終えた。

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、トルコ経済の混乱懸念を背景としたドルの堅調地合いが重しとなり、3営業日続落した。

対米関係が悪化しているトルコの経済不安が広がる中、金融市場ではリスク回避の動きが拡大。外国為替市場ではトルコリラがこの日も売りを浴び、南アフリカランドやイ ンドルピー、ロシア・ルーブルなど他の新興国通貨もつれ安となった。

一方、ドルは円やスイス・フランとともに「資金の逃避先」として物色され、ユーロなどに対して大幅上伸。これを受け、ドル建てで取引される金塊の割高感が一層強まった。

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米国内の在庫増加や原油需要の減退に対する懸念を背景に売りが優勢となり、反落した。

調査会社ジェンスケープのデータで、10日までの週のWTI主要受け渡し拠点である米オクラホマ州クッシングの在庫が約170万バレル増加したとの報が伝わると、供給過剰懸念から売りが活発化。石油輸出国機構(OPEC)が13日に公表した月報で、2019年の世界の原油需要見通しが日 量143万バレル増と、前月に示した予想から増加幅が2万バレル引き下げられたことも 相場の重しとなったもようだ。

ロイター
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