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米ISM製造業景気指数、7月は低下 輸入関税への懸念増大

2018年08月02日(木)04時38分

[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景気指数は58.1と、前月の60.2から低下した。予想は59.5だった。底堅い景気や輸入関税が供給網を圧迫する兆候がみられ、長期で生産に悪影響が及ぶ可能性もある。

BMOキャピタル・マーケッツの上級エコノミスト、ジェニファー・リー氏は「年末にかけて状況は厳しさを増す」「労働市場が逼迫する中、各企業はすでに能力ある労働者の確保で苦戦している。コスト増や外需鈍化に対応する必要もある」と話す。

ISM製造業調査責任者のティモシー・フィオーレ氏は「需要が引き続き堅調だが、雇用資源や供給網を巡り困難な状況が続く」「報復関税など関税関連の動きが事業にどう影響し続けるのか、懸念を表明する回答者が多くなっている」と話す。

供給業者の納入指数が6.1ポイント下がって62.1。前月は68.2と14年ぶりの水準を記録しており、引き続き高い水準を維持している。

エコノミストらは配達遅延の要因に、貿易問題を巡る緊張のほか、労働力不足や底堅い内需など堅調な景気を挙げた。

ほぼすべての産業が関税の影響を訴え、一部は鉄鋼・アルミニウムなど原材料価格の引き上げに踏み切ったと答えた。

関税発動前に在庫を積み増したと答える企業もあり、在庫増につながった。

輸送機器メーカーは、輸入関税に伴う原材料価格の上昇分について、国内顧客に転嫁する考えを示した。価格指数は73.2と、76.8から低下したが依然高水準だ。18産業中、17産業が過去1カ月間に原材料購入の支払いが増えたと答えた。

新規受注指数が60.2と前月の63.5から低下した。新規、輸出受注とも落ち込んだ。雇用指数は56.5と、56.0から上昇した。

キャピタル・エコノミクスの首席米国エコノミスト、ポール・アシュウォース氏は「関税の影響を巡る懸念が高まって、輸出を圧迫したり投入価格を押し上げたりする恐れがあると予想され、ISM指数は今年下期にかけ緩やかに弱含み続ける」と見通した。

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WRAPUP 2-Trade tensions, labor shortages loom over U.S. factories [nL1N1UR175]

ISM U.S. MANUFACTURING EMPLOYMENT INDEX 56.5 IN JULY (CONSENSUS 56.0) VS 56.0 IN JUNE [nN9N1OC01P]

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ロイター
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