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中国の半導体市場、投資拡大による過剰生産を懸念=経産省通商白書
7月10日、経済産業省は2018年の「通商白書」を公表した。中国経済の急速な変化を取り上げ、国家を挙げて推進している半導体産業において、鉄鋼産業と同様の過剰生産能力問題が生じる可能性があると指摘した。写真は東京の港湾に並ぶコンテナ。昨年7月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 10日 ロイター] - 経済産業省は2018年の「通商白書」を公表した。中国経済の急速な変化を取り上げ、国家を挙げて推進している半導体産業において、鉄鋼産業と同様の過剰生産能力問題が生じる可能性があると指摘した。中国は世界の半導体売上高の3割を占める巨大市場であり、中でも集積回路産業への過剰な政策資金の投入に懸念を示している。
白書によると、中国では14年の「国家集積回路発展要項」の策定に伴い国家投資基金が設立され、集積回路産業には毎年40億ドル規模の投資を行ってきた。その結果、政府補助金や企業の借入金に加えて、投資基金の投資など政策資源が急速に拡大し、固定資産額は15年から17年にかけて急増している。
一方で、同期間の企業の総資産営業利益率は低下を続けている。
こうした中国の集積回路産業の動向は、輸入超過時代の中国鉄鋼産業の状況と類似しており、将来的な過剰生産能力問題が懸念されるとしている。
最近では、第13次5カ年計画および製造業振興策「中国製造2025」で29億ドル規模の産業投資基金が設立され、「中国製造2025発展基金」も別途設立されるとの報道もあり、白書は、今後複数の産業においても、政策資源投入による過剰生産問題が生じる可能性があると指摘している。
(中川泉 編集:田中志保)