ニュース速報

ビジネス

金融庁、投信販売で共通指標を導入 顧客の損益分布など3項目

2018年06月29日(金)15時36分

 6月29日、金融庁は、投資信託を販売する銀行や証券会社に対して、顧客の運用損益別の比率など3項目の共通指標を導入し、統一基準で算出・公表することを求めると正式発表した。写真は都内で2013年11月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 29日 ロイター] - 金融庁は29日、投資信託を販売する銀行や証券会社に対して、顧客の運用損益別の比率など3項目の共通指標を導入し、統一基準で算出・公表することを求めると正式発表した。銀行や証券会社による「顧客本位の業務運営」を促すための措置で、共通の指標を通じ、顧客が負うリスクとリターンが見合っているかなど販売体制の適正さを比較しやすくする。

共通指標は、1)投信とファンドラップの運用損益別顧客比率、2)投信の預かり残高上位20銘柄の購入コストとリターン、3)投信の預かり残高上位20銘柄のリスクとリターンの3つ。指標を通じ、手数料や商品のリスクに見合ったリターンを顧客が得られているかを浮き彫りにするのが狙い。

金融庁は、毎年3月末を基準日に同庁が決めた統一の算出方法に基づき、データを算出するよう求める。年1回の更新を想定し、過去分の公表も求める。

同庁は29日、主要行等9行、地方銀行20行を対象に共通指標を算出した結果を公表した。全29行を合算した18年3月末時点の運用損益別顧客比率では、46%の顧客は運用損益率がマイナスだった。一方、投信の預かり残高上位20銘柄のうち、設定後5年以上の投信のコストとリターンを検証したところ、両者に明確な関係はなく、顧客がコストに見合ったリターンを必ずしも得ているわけではないことが明らかになった。

金融庁は17年、投信の販売手数料の明確化などで構成する「顧客本位の業務運営の原則」を策定。金融機関に自社の取り組みや取り組みの進捗を示す指標の公表を求めてきた。しかし、金融機関が独自に設定する指標は算出方法がばらばらで、自社に都合のいい指標が公表されて利用者の利便性にそぐわないリスクがある。

金融庁は、利用者が金融機関の状況を比較しやすくするため、各社共通の指標を検討してきた。今後、他の金融商品や他の金融セクターについても、指標の導入を検討する方針。

*内容を追加しました。

(和田崇彦)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

EVポールスター、中国以外で生産加速 EU・中国の

ワールド

東南アジア4カ国からの太陽光パネルに米の関税発動要

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時700円超安 前日の上げ

ワールド

トルコのロシア産ウラル原油輸入、3月は過去最高=L
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 9

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 10

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中