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独IFO業況指数、6月は101.8に低下 1年超ぶりの低水準

2018年06月26日(火)00時34分

[ベルリン 25日 ロイター] - ドイツのIFO経済研究所が25日発表した6月の業況指数は101.8で、5月の102.3から低下した。

世界的な貿易戦争への懸念を背景に、企業幹部の心理が悪化していることを示唆した。

ただ、ロイター調査のコンセンサス予想(101.7)は若干上回った。

101.8は2017年5月以来、1年超ぶりの低水準。

製造、サービス、卸売り・小売り、建設の4つのすべてのセクターの業況が悪化した。

IFOのクレメンス・フュースト所長は「ドイツ経済が享受していた追い風が収まってきている」と述べた。

ただ、エコノミストはリセッション(景気後退)の可能性を否定し、昨年の2.5%の伸びは下回るものの、ドイツ経済は引き続き成長すると予想している。

LBBW銀行のUwe Burkert氏はアナリストメモで「業況指数の小幅な低下は、独経済が標準的な成長水準に減速するというわれわれの見方を裏付けている」と指摘した上で、「しかし、景気の低迷は意味せず、リセッションも確実にない」と述べた。

今年発表されたドイツの経済指標の大半は景気の陰りを示唆している。1─4月には、鉱工業の活動と輸出がともに弱かった。

またトランプ米大統領は、先に発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限に加え、今度は欧州連合(EU)内で組み立てられた自動車に対して大幅な関税を課すと警告している。

ドイツの経済界は、米中貿易摩擦についても、両国に依存している輸出企業に悪影響を及ぼす可能性があると懸念している。

IFOエコノミスト、クラウス・ボールラーベ氏はロイターに対し、「好況は終わった。ドイツ経済は標準に戻りつつある」と述べ、「トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争を巡る論争が心理を悪化させている。不透明感がやや強まった」と指摘した。

ING・Divaのエコノミスト、カルステン・ブレゼスキ氏は、米国の鉄鋼・アルミ関税にドイツは対応可能で「米国が自動車に大幅な輸入関税をかけても、ユーロが引き続き低調な中では需要に影響しない」と指摘。

ただ移民問題でメルケル政権が崩壊し総選挙となれば、経済的に悪影響を及ぼすとし、「これは早急に必要な投資や新たな構造改革、(欧州)通貨同盟の強化が一段と遅れることになるからだ」と述べた。

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