ニュース速報

ビジネス

米テスラ、人員削減で太陽光発電事業を大幅縮小へ

2018年06月22日(金)13時09分

 6月22日、米電気自動車メーカー、テスラは先週、9%の人員削減を発表、住宅用太陽光発電事業は縮小を迫られそうだ。写真はテスラのロゴ。チューリッヒで3月撮影(2018年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[ロサンゼルス/サンフランシスコ 22日 ロイター] - 米電気自動車メーカー、テスラは先週、9%の人員削減を発表、住宅用太陽光発電事業は縮小を迫られそうだ。複数の社内文書や事業に関わる新旧の従業員を通じて明らかになった。

テスラの太陽光事業はイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)のいとこ2人が「ソーラーシティー」社として設立し、テスラは2年前に26億ドルで買収、ブランド化を進めてきた。だが、今年第1・四半期の施行規模は76メガワットで、ソーラーシティーが2016年の四半期で達成した200メガワット強を大きく下回った。

テスラは複数の施設も閉鎖する予定で、社内文書によると残る施設は約60。社内メールでは閉鎖する施設は13ないし14とされており、カリフォルニアやメリーランド、ニュージャージー、テキサス、ニューヨーク、ニューハンプシャー、コネティカット、アリゾナ、デラウェアの各州にある施設が挙がっている。

人員削減は、蓄電池など太陽光関連事業全体に及んでおり、9%と発表した人員削減規模にほぼ見合うという。元従業員によると、ネバダとユタ両州にある太陽光発電のカスタマーサービスセンターのスタッフが解雇された。テスラ幹部はあるスタッフに対し「苦しい状況が続いており、これは誰もが認めるところだ」とのメールを送ったという。

人員削減規模が全体でどのぐらいに上るかは依然不明で、閉鎖対象となった施設の従業員は一部、別の施設に異動するという。2015年末時点のソーラーシティーの従業員数は約1万5000人だった。

テスラは、具体的な閉鎖対象施設やそれに伴う人員解雇の規模などは明らかにしておらず、ロイターに対しては「テスラの太陽光や蓄電池事業は、長期的には電気自動車とほぼ同等の事業規模になると見込んでいる」とコメントした。

太陽光発電事業でのホームセンター大手、ホーム・デポとの提携も解消する。GTMリサーチのアナリスト、オースティン・ペレア氏によると、太陽光発電事業の売り上げの半分はホーム・デポとの提携から生み出されていたという。

ホーム・デポの広報担当者、スティーブン・ホームズ氏は、テスラとの提携は年末まで続く予定だと明らかにした。

テスラは昨年、小売り店舗向けの販売に力を入れる一方で、訪問販売を中止。訪問販売はソーラーシティーが新規顧客獲得で得意としていた手法で、元従業員はロイターに対し、ホーム・デポとの提携はコストが大きいが売上高の重要な部分を占めていたと述べた。

テスラは、新型EVセダン「モデル3」の生産目標を達成するため試行錯誤を続けているが、新たな資金調達なしで利益を出すよう投資家からの圧力も高まっている。

人員削減や施設閉鎖を受けて、テスラの太陽光事業の将来性を疑問視する声も高まっている。フォレスター・リサーチのアナリスト、フランク・ジレット氏は「結果として、太陽光発電事業について戦略なしだ、と言っているのと同じだ。ソーラーシティー買収はひどい有様になっている」と述べた。

太陽光事業の不振で、テスラがパナソニックと米国で共同運営する太陽光パネルの組み立て工場にも影響が出そうだ。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

英、2030年までに国防費GDP比2.5%達成=首

ワールド

米、ウクライナに10億ドルの追加支援 緊急予算案成

ワールド

ロシア夏季攻勢、予想外の場所になる可能性も=ウクラ

ビジネス

米テスラ、テキサス州の工場で従業員2688人を一時
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親会社HYBEが監査、ミン・ヒジン代表の辞任を要求

  • 4

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 5

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    ロシア、NATOとの大規模紛争に備えてフィンランド国…

  • 9

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中