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ユーロ圏財務相、ギリシャに対する債務軽減策と新規融資で合意
6月22日、複数の当局者によると、ユーロ圏各国の財務相は、ギリシャに対する過去の融資の大半について、償還期限と返済猶予期間を10年延長する債務軽減策で合意した。写真はギリシャの議事堂で揺れるギリシャ国旗21日にアテネで撮影(2018年 ロイター/COSTAS BALTAS)
[ルクセンブルク 22日 ロイター] - ユーロ圏各国の財務相は22日、ギリシャに対する過去の融資の大半について、償還期限と返済猶予期間を10年延長する債務軽減策で合意した。また、支援プログラム終了後の資本市場復帰を支援するため、新たに150億ユーロを融資することでも合意した。
ギリシャは経済危機で資本市場へのアクセスを失い、2010年以降の3回の金融支援で基本的に財政を賄ってきた。
債権団から求められた数々の改革を行ったことでギリシャの経済は大いに改善したものの、資本市場に復帰するためには、財政が債務返済の負担によって再び破綻しないことを投資家に証明する必要がある。
当局者によると、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で合意された債務軽減策には、第2次支援プログラムでギリシャが受けた融資の残高、約1300億ユーロの償還期限と返済猶予期間の10年延長が盛り込まれた。近い将来に返済期限が重なることを避けるのが狙い。
また、現行の第3次支援プログラムでの最後の融資資金としてギリシャに150億ユーロを拠出することも合意された。これにより、ギリシャの資本バッファーを拡大させ、8月20日に第3次支援プログラムが終了した後の同国の資本市場での資金調達を支援することを目指す。
ギリシャ政府は来年に国内総生産(GDP)の約7%に相当する額の返済期限を迎える。
償還期限の延期と返済猶予期間の延長は、ギリシャの債務返済は可能であると投資家に保証するための措置だ。
ただ、今回の債務軽減策は問題を先送りするだけで、ギリシャが国内の景気減速あるいはユーロ圏全体に対する市場の懸念の広がりの影響を受けやすい状況は続くとの見方もある。
ユーログループでは、ギリシャ債務の免除は検討されなかった。
また、ギリシャ政府にすでに合意した改革を撤回させないための金銭的なインセンティブを提供する案について合意がなされたかは不明。
ユーログループのセンテノ議長は記者会見で「8年の歳月を経てギリシャはようやく金融支援から脱却しつつある」と述べ、「ギリシャ債務の持続性を確保するために、債務軽減策が必要だった」と説明した。
ギリシャのツァカロトス財務相は、追加の債務軽減策により債務の持続性が確保され、資本市場に復帰する道が開けたとし「今回の合意にギリシャ政府は満足している」と語った。
ルメール仏財務相も「ギリシャの債務問題は過去のものだ」と指摘した。
ユーロ圏財務相は、ギリシャが債権団と合意した経済改革を計画通り実行した場合、2022年まで半年ごとに6億ユーロを支払うことでも合意した。これは、ギリシャが改革を続けるインセンティブになるとユーロ圏財務相は考えている。資金は、ユーロ圏の各国中銀が保有し、今後4年で段階的に償還を迎えるギリシャ国債の利益で賄う。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、ギリシャに対する債務軽減策で合意したことについて、中期的な債務持続性の改善につながるとして歓迎した一方、長期的な持続性を巡っては疑念が残ると述べた。
8月に終了する第3次支援プログラムについて、残りの期間がわずかとなっているためIMFは参加しないとし、早期に債務の持続性を精査すると言明。ギリシャの債務の長期的な持続性を巡り、IMFは引き続き疑念を抱いているとした。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、債務負担軽減策により、ギリシャの中期的な債務持続性が改善すると評価した。
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