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物価の弱さ、構造要因が影響 上昇気流は途切れず=布野日銀委員
6月21日、日銀の布野幸利審議委員(写真)は宮城県仙台市で会見し、景気の拡大が続いているにもかかわらず物価の伸びが鈍い背景について、インターネット通販の拡大など構造的な問題が「少なからず影響している」との認識を示した。日銀本店で2015年7月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[仙台市 21日 ロイター] - 日銀の布野幸利審議委員は宮城県仙台市で会見し、景気の拡大が続いているにもかかわらず物価の伸びが鈍い背景について、インターネット通販の拡大など構造的な問題が「少なからず影響している」との認識を示した。ただ、足元の物価の弱さは一時的なものだとし、上昇気流は途切れていないと述べた。
足元の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)は4月に前年比0.7%上昇となり、プラス幅が2カ月連続で縮小。日銀の想定を下回って推移している。
布野委員は会見で、足元の物価について「ここにきて伸びがやや鈍化している」としながらも、伸びの縮小自体は「一時的だと思う。リバウンドしてくる」と予想。需給ギャップのプラス幅が拡大を続けるなど「経済の右肩上がりの動きは失われておらず、悲観する必要はない」と述べ、先行きは「もみ合いながら、やや長い目で見れば上昇傾向を強めていく」との見通しを示した。
もっとも、好景気にもかかわらず物価の動きが鈍いことは事実。布野委員は、インターネットを介した通信販売の拡大や、ドラッグストアとスーパーの競合などを例に挙げ、「さまざまな構造的な根の深い流れが、物価に少なからず影響していることは否めない」と語った。
それでも「重要な要素である需給ギャップなど経済の流れを含め、物価の上昇気流が折れている状況にはない」とし、物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)は「維持されている」との認識を示した。
トランプ米政権の通商政策が保護主義的な傾向を強めていることに対しては「保護主義の高まりは世界貿易量の動きなどに影響を与えかねないリスクであり、心配しながら注視している」とし、日本は「非常に海外への貿易に立脚している経済。保護主義によって世界経済が鈍化すれば影響が出ると想定しておくべきだ」と懸念を表明した。
(伊藤純夫)