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米中古住宅販売、5月は0.4%減 住宅価格過去最高

2018年06月21日(木)03時45分

[ワシントン 20日 ロイター] - 米リアルター協会(NAR)が20日に発表した5月の米中古住宅販売戸数(季節調整済み)は年率換算で前月比0.4%減の543万戸と2カ月連続でマイナスとなった。市場予想は1.5%増の552万戸だった。深刻な供給不足の中、住宅価格が過去最高水準を付け、販売の重しとなった。

中古住宅は米国の住宅市場全体の約9割を占める。

4月の販売戸数は当初発表の546万戸から545万戸へ改定された。

地域別では、わずかな市場占有率である北東部のみ増えた。西部と南部、中西部は減少した。

5月の前年同月比は3.0%減。3カ月連続でマイナスとなっている。

ジロー(シアトル)のシニアエコノミスト、アーロン・テラサス氏は「供給は需要にまったく見合っていないため、価格はこれまでにないほどに上昇し、住宅取得が困難になっている。こうしたサイクルがいつ、どのようにして破られるのかは分からない」と述べた。

ただ一部エコノミストの間では、住宅ローン金利の上昇が住宅需要の減少につながり、供給不足が解消に向かうとの見方も出ている。ムーディーズ・アナリティクスのシニアエコノミスト、アンドレス・カルバチョ・ブルゴス氏は「住宅ローン金利が上昇していることで、住宅の取得しやすさは低下し、需要は大きく減少する」と指摘。売りに出される住宅も増え、市場のひっ迫は解消に向かうとの見方を示した。

住宅販売は今年、総じて弱含んでいる。底堅い需要を背景に供給が不足し、住宅価格の伸びが賃金の伸びのペースを上回っていることが背景。供給不足は低価格帯の住宅で特に顕著だ。こうした住宅は市場の大部分を占める。住宅ローン金利は7年ぶりの高水準に戻っており、初めての住宅購入者にとってますます手が届かない状況となる可能性がある。失業率は18年ぶりの低水準にあり、住宅需要を押し上げている。

米連邦住宅抵当貸付公社(フレディマック)によると、前週の30年住宅ローン固定金利は0.8%ポイント上昇の4.62%となった。米連邦準備理事会(FRB)は前週、今年2度目となる利上げを決め、年内にあと2回利上げする見通しを示した。住宅ローン金利は今後さらに上昇することが見込まれる。

市場に出て売れ残った住宅在庫は前月比2.8%増の185万戸。前年同月比では6.1%減だった。36カ月連続で減っている。

5月の販売ペースに基づく在庫の消化期間は4.1カ月。4月は4.0カ月だった。6、7カ月分が需要と供給の適切なバランスとされている。

5月の中間販売価格は前年同月比4.9%上昇の26万4800ドルと、過去最高値となった。75カ月連続で前年同月比で上昇している。

住宅建設業者は在庫不足に追いつけない状況だ。木材の値上がりのほか、用地や労働力が不足しているとの声が上がっている。ただNARは、在庫状況が年内に改善するとの見方を示した。

米商務省が19日発表した5月の米住宅着工件数は前月比5.0%増の135万件だった。完成件数は1.9%増の129万1000戸。着工・完成件数ともに増えたものの、依然として不動産業者やエコノミストが供給不足を和らげる水準とみなす150─160万戸を下回っている。

NARによると、10万ドル以下の住宅の販売は前年同月比で約18%減った。住宅が市場に出ている期間は26日間。4月も26日間だった。これは7年ぶりの短期間となる。前年同月は27日間だった。5月に売れた住宅の58%は、市場に出ていた期間が1カ月より短かった。

初めての住宅購入者は5月全体の販売の31%を占めた。4月は33%だった。前年同月も33%。エコノミストらは、底堅い住宅市場には初めての住宅購入者が40%占める必要があるとしている。

ロイター
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