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日米欧中銀トップ、貿易戦争による世界経済への影響を危惧

2018年06月21日(木)08時15分

[シントラ(ポルトガル) 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)がポルトガルのシントラで開催した年次フォーラムで20日、日米欧など主要中銀トップによるパネルディスカッションが行われた。出席者からは、激化の様相を見せる貿易戦争が景況感の重しとなりつつあり、経済見通しの下方修正を迫られる可能性もあるとの懸念が示された。

パネルにはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、ドラギECB総裁、黒田東彦日銀総裁、ロウ・オーストラリア準備銀行総裁が参加。

パウエル議長は「通商政策の変更によって、見通しに疑問が生じる可能性はある」と指摘。米国内外の企業と幅広く意見交換を行う中で、「企業側が貿易を巡る動向について引き続き、そしてますます多くの懸念を示している」とし、「投資や採用を延期する決定や、意思決定を遅らせるとの情報を初めて耳にしている」とも明らかにした。

また、こうした景況感の悪化は見通しにまだ反映されておらず、経済活動への悪影響もまだ現れていないとの見方を示した。

ドラギ総裁は「(貿易を巡る)全ての動向による金融政策への影響を見極めることは容易ではなく、その時期にも至っていない。だが、楽観的となる根拠も存在しない」と述べた。

また、貿易戦争は信頼感の低下や投資の減少、輸出の落ち込みなどを通じて経済に影響する恐れがあり、これらの要因はいずれも報復合戦によって悪化しかねないと指摘した。

ECBは先週の理事会後に公表したスタッフ予想で今年の成長率見通しを下方修正した。ドラギ総裁は、スタッフ予想より長期にわたり軟局面が続く可能性があるとの見方を示した。

黒田総裁は、米中間の関税を巡る緊張の高まりが継続すれば、日本経済への間接的な影響はかなり大きくなる可能性があると懸念を示した。

ドイツ銀行のアナリストは、トランプ政権の政策は自国の成長率や企業業績に打撃を及ぼす可能性があるとし、「2000億ドル規模の輸入品に関税を適用する段階まで貿易摩擦が激化すれば、実質国内総生産(GDP)成長率は0.2─0.3%ポイント前後押し下げられる」と試算。そうなれば、S&P500企業の利益の伸びは1─1.5%押し下げられる可能性があるとした。

ベレンベルグのエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は、米国と中国および欧州連合(EU)の貿易戦争について、これらの国への直接的な影響は平均でGDPの0.1─0.2%前後と試算した。

その上で「ルールに基づく世界貿易の秩序を乱せば、深刻な不透明感を招くことになり、いずれ取引コストの上昇につながる。長期的に、過去数十年間のグローバル化で得た恩恵が失われる恐れがある」と警告した。

*内容を追加します。

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