ニュース速報

ビジネス

ECB、量的緩和・金利の文言巡り見解相違 最終的に全会一致

2018年06月15日(金)09時08分

 6月14日、欧州中央銀行(ECB)は理事会で、量的緩和を今年10月以降は月間150億ユーロに縮小した上で年内に終了する方針を決定したが、理事会メンバーの間では量的緩和策の延長に可能性を残すことの是非や、利上げ開始時期を巡り意見が分かれていたことが複数の関係筋の話で明らかになった。写真はリガで記者会見するECBメンバーら(2018年 ロイター/Ints Kalnins)

[フランクフルト 14日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、量的緩和を今年10月以降は月間150億ユーロに縮小した上で年内に終了する方針を決定したが、理事会メンバーの間では量的緩和策の延長に可能性を残すことの是非や、利上げ開始時期を巡り意見が分かれていたことが複数の関係筋の話で明らかになった。

ECBは声明で、量的緩和については「9月末までは月間300億ユーロの現在の買い入れを続け、それ以降はデータが理事会の中期インフレ見通しを確認するものとなれば、買い入れ規模を12月末まで月間150億ユーロに縮小した後、終了すると想定している」と表明。金利については「少なくとも2019年夏にかけて現在の水準にとどまる」との見通しを示した。

ドラギ総裁は今回の理事会での決定は全会一致だったことを明らかにしており、最終的には意見の不一致は解消されている。

ただ関係筋によると、一部の当局者は債券買い入れ策延長の可能性を巡り、より暫定的な文言を使うよう主張。一方、ECBは早くて2019年央にも利上げに着手する可能性があることを示唆する必要があるとの見解も示された。

関係筋は「一部メンバーは『年央』との文言を使いたかったようだ」と指摘。ただ、「一部からは2011年に利上げした際の轍を踏まないよう、過度に速いペースで動くことに懸念が示された」とし、同じ失敗を繰り返さないよう時間をかけて討議した結果、最終的には発表された声明の文言で全員の合意が得られたとしている。

ECBは2011年に2度の利上げを行った後に利下げを迫られた経緯がある。

ドラギ総裁は記者会見で「夏にかけて」との文言について、「もし9月という意味であれば、実際にそう書いていただろう。われわれが言いたいのは、経済が好調を呈すると同時に不透明性が増す中で今回の決定を下しており、『夏にかけて』というのは意図的に時期を特定しないということだ」と説明。関係筋は「声明の文言には多くの余白が残されている」としている。

関係筋の話について、ECBはコメントを控えた。

*チャネルを追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&Pとナスダック下落、ネットフリッ

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ビジネス

NY外為市場=円・スイスフラン上げ幅縮小、イランが

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中