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ECB理事会後のドラギ総裁発言要旨
6月14日、欧州中央銀行(ECB)は理事会で、量的緩和を今年10月以降は月間150億ユーロに縮小し、年内で終了する方針を決定した。写真はリガで記者会見するECBのドラギ総裁(2018年 ロイター/Ints Kalnins)
[リガ 14日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、量的緩和を今年10月以降は月間150億ユーロに縮小し、年内で終了する方針を決定した。金利については「現在の水準に少なくとも2019年夏までとどまる」との見通しを示した。主要政策金利は予想通りに据え置きを決定した。
ドラギ総裁の理事会後の記者会見での発言要旨は以下の通り。
<保護主義>
保護主義に関する問題はこれまでになく喫緊の課題となっており、既存の多国間枠組み内での議論は、その対応の性質を巡る議論と同じくらい重要といえる。というのも第二次大戦以降、われわれの存在や繁栄に寄り添ってきた多国間枠組みを覆せば、われわれは非常に深刻な被害をこうむることになるからだ。実際、われわれの祖先はそうした経験をしており、それを繰り返す必要はない。
<ユーロ>
ユーロは3億4000万人が利用する通貨であり、域内で足元74%の支持を得ているほか、加盟を希望する国も増えている。したがってそれぞれが結論を出すことは可能だが、後戻りできないというのが一つの結論だ。ユーロは力を持ち、人々が求めており、その存在を議論したところで誰の利点にもならないからだ。
<「夏にかけて」の意味>
(金利が少なくとも2019年夏にかけて現行水準にとどまる、との声明の文言に関し)「夏にかけて」というのは9月という意味かとの質問だが、もし9月という意味であれば、実際にそう書いていただろう。われわれが言いたいのは、経済が好調を呈すると同時に不透明性が増す中で今回の決定を下しており、「夏にかけて」というのは意図的に時期を特定しないということだ。
<イタリアとユーロ離脱の可能性>
(イタリアとユーロ離脱の可能性について聞かれ)不可逆的なことが存在するかどうかを議論するのはまったく割に合わない。それは損害をもたらすだけであって、双方に同じことが言える。以上だ。
<フォワードガイダンス巡る決定は全会一致>
忍耐強く慎重で、粘り強いというのが総じてこの日の決定のトーンであり、これは全会一致で確認された。そのため、この日の決定は全会一致によるものと言える。
フォワードガイダンスについては、時期や状態依存を巡り全会一致の決定だった。
<選択肢の維持>
この日の決定のすべての側面において選択肢を維持したい考えだ。
そのため金利に関しても「少なくとも2019年夏まで(現水準にとどまる)」とした。
<再投資巡る決定は全会一致>
長期間にわたり保有債券の償還金の再投資を続けるとの決定は全会一致による。
<リスク過小評価せず>
理事会が示した現在の経済情勢、および経済の基調的な強さを巡るアセスメントは、きょうの決定事項を達成するにあたり全般的に適切であって、現存するリスクを過小評価するものではない。
<利上げについて討議せず>
利上げを実施すべきか、さらに利上げ実施の時期について討議しなかった。
<構造改革>
弾力性の強化、構造的失業率の改善、生産性と潜在成長の拡大に向け、域内の構造改革を大幅に進める必要がある。
<基調インフレ>
インフレ見通しを巡る不透明性は後退しつつある。
基調インフレは年末にかけ上向き、中期的に緩やかに上昇する見通しだ。
<金融市場の変動を注視>
金融市場の変動が強まり、かつ継続するリスクがあり、注視を要する。
<成長リスク>
ユーロ圏の成長見通しに対するリスクは引き続きおおむね均衡している。だが、保護主義高まりの脅威など、国際情勢に絡む不透明要因は顕著となってきている。
<底堅く裾野の広い成長>
最新の経済指標や調査は弱めの結果が出ているものの、底堅く裾野の広い現在進行中の成長と依然一致している。
<あらゆる手段を調整する用意>
インフレ率が今後も継続的に目標水準に向かうよう、理事会として必要に応じてあらゆる手段を調整する用意がある。
<かなりの刺激策がなお必要>
域内の物価圧力を一段と押し上げ、中期的な総合インフレ動向を支えるため、なおかなりの金融刺激策が必要だ。
<インフレの持続的な調整に向けた大幅な進展>
理事会は、これまでにインフレの持続的な調整に向け大幅な進展が見られたとの結論に達した。
<インフレ収束に自信>
長期インフレ期待が抑制されるなか、ユーロ圏経済の基調的な強さ、および金融緩和が引き続き潤沢な水準にあることは、インフレがわれわれの目標に向け引き続き持続的に収束し、純資産買い入れの段階的な縮小後も維持されると確信を持つ根拠となっている。
*買い入れ縮小の開始時期を明確にしました。