ニュース速報

ビジネス

中国鉱工業生産、5月は前年比+6.8%で予想割れ 投資・小売りも鈍化

2018年06月14日(木)16時47分

 6月14日、中国国家統計局が発表した5月の鉱工業生産は前年同月比6.8%増と、伸び率は市場予想を下回った。写真は合肥市で2014年5月撮影(2018年 ロイター)

[北京 14日 ロイター] - 中国国家統計局が14日に発表した5月の鉱工業生産は前年同月比6.8%増と、伸び率は市場予想を下回った。1─5月の固定資産投資の伸びも前年同期比6.1%に鈍化、市場予想を大幅に下回り、1996年2月以降で最も低い伸びとなった。

ロイターがまとめたアナリストの予想は鉱工業生産が6.9%増、固定資産投資が7.0%増だった。

4月の鉱工業生産と1─4月の固定資産投資はいずれも7.0%増だった。

1─5月の民間の固定資産投資は8.1%増で、1─4月の8.4%増から伸びが鈍化した。中国では民間の投資が全体の約6割を占めている。

昨年の経済成長をけん引したインフラ投資の伸びは1─5月で9.4%と、1─4月の12.4%から鈍化した。

5月の小売売上高は前年比8.5%増で、こちらも市場予想の9.6%増を下回り、2003年6月以来の低い伸びとなった。4月は9.4%増だった。

中国では、高リスク融資抑制に向けたここ数年の政府の取り組みが企業や消費者の借り入れコスト上昇につながり、きょうの指標が幅広い経済活動の鈍化を示したように、好調だった経済にもついに陰りが見え始めている。

中国人民銀行(中央銀行)も14日、政策金利を据え置いて市場を驚かせた。

ラボバンクのエコノミストらは、22年超ぶり低水準となった固定資産投資の伸びなど、「中国の基準に照らすと、指標はすべて恐ろしいほど弱い」とし、中銀の据え置き決定の説明になるかもしれないと指摘。

「中国のデレバレッジが経済を直撃といった見出しに対する備えが必要だ。ただ、中国ではまだデレバレッジも済んでいない。中国は市場が考える以上に危ない橋を渡っている。指標はその問題をはっきりと裏付けている」と述べた。

国家統計局の毛盛勇報道官は小売売上高の伸び鈍化は季節要因と消費者による購入先送りが原因で、固定資産投資の減速はインフラ投資の伸び悩みによるとものと説明した。

小売売上高では自動車の売上高が1%減少した。中国汽車工業協会(CAAM)の幹部は11日、一部消費者は関税が引き下げられるまで購入を控えているようだと述べた。

中国財政省は先月、大部分の自動車について、7月1日から輸入関税を25%から15%に引き下げると発表している。

同報道官は中国経済が下半期も比較的健全なモメンタムを維持すると予想。通年の成長率が政府目標が市場予想に沿った6.5%前後となることに自信を持っていると述べた。

ただ、12日発表された5月の新規人民元建て融資も予想外に減少。5月の指標としては先週発表された貿易統計が唯一明るい内容だったが、アナリストらは成長のけん引役である輸出も今後数カ月以内に失速する可能性があるとみている。

中国商務省の高峰報道官は14日、国際貿易環境の変化により、国内の輸出企業が出荷を前倒ししていることを明らかにした。

ANZの中国担当上級エコノミスト、ベティ・ワン氏は「固定資産投資の最大の押し下げ要因がインフラ投資だった」としながらも、今後予定されているインフラプロジェクトはまだ数多くあり、政府が望むなら刺激策の注入が比較的容易なセクターだと指摘。

「地方政府が債務の取り締まりで身動きが取れないのは確かだが、経済に極めて大きな下振れリスクが生じれば、政府には再び景気を押し上げる十分な能力がある」と述べた。

きょうの指標発表を受け、INGは第2・四半期の中国の国内総生産(GDP)伸び率見通しを6.8%から6.7%へ引き下げた。

オックスフォード・エコノミクスとノムラは各6.4%、6.6%に見通しを据え置き。コメルツバンクも6.4%の見通しは「既に低い」として予想を維持した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調

ワールド

ロシア凍結資産の利息でウクライナ支援、米提案をG7

ビジネス

北京モーターショー開幕、NEV一色 国内設計のAD
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中