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日銀17年度は7647億円の黒字、2年連続で増益 ETF含み益倍増
[東京 29日 ロイター] - 日銀が29日発表した2017年度決算によると、金融緩和政策のもとで大規模な資産買い入れを継続する中、国債の利息収入と上場投資信託(ETF)の分配金の増加を主因に最終利益に当たる当期剰余金が7647億円となった。
前年の5066億円から増加、増益は2年連続となる。株高を反映し、2018年3月末のETFの含み益は5兆1460億円と過去最高となり、前年からほぼ倍増した。
日銀が長期国債の買い入れを中心とした大規模な金融緩和を継続する中で、3月末の資産残高は前年比7.8%増の528.2兆円と過去最大に膨らんだ。このうち国債が448兆円、ETFが19兆円を占める。
保有国債の拡大に伴って利息収入は1兆2211億円となり、前年の1兆1869億円から341億円増加した。
もっとも、日銀は現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策によって長短金利を低位に抑制し続けており、保有国債の運用利回りが0.279%と過去最低を更新。
額面を上回る価格で購入した国債の価格が満期時に額面と一致するよう、実際の利息収入から差し引く「利息調整額」が1兆5000億円程度に増加したこともあり、利息収入は微増にとどまった。
年間6兆円程度の買い入れを進めているETFの分配金は2789億円となり、前年から約1000億円増加。
これらを主因に経常利益は1兆2287億円と、前年の1兆0952億円から増加した。大規模緩和の推進と出口における収益平準化を図るために拡充した債券取引損失引当金を4451億円積み増したことなどから、最終利益にあたる当期剰余金は7647億円となり、そこから法定準備金と配当金を差し引いた7265億円を国庫に納付する。
自己資本比率は8.09%と前年度末の8.07%から上昇した。
株高を背景に保有するETFの含み益は、2018年3月末に5兆1460億円と過去最高を更新。前年3月末の2兆7692億円から大きく拡大した。
(伊藤純夫 編集:田中志保)