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今年度単独粗鋼生産は16年度の4262万トン超へ=新日鉄住金副社長
5月21日、新日鉄住金 の宮本勝弘副社長はロイターとのインタビューに応じ、2019年3月期の単独粗鋼生産は、一昨年の2017年3月期の4262万トン以上を目指すと述べた。2014年2月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 21日 ロイター] - 新日鉄住金 <5401.T>の宮本勝弘副社長はロイターとのインタビューに応じ、2019年3月期の単独粗鋼生産は、一昨年の2017年3月期の4262万トン以上を目指すと述べた。18年3月期の粗鋼生産は、設備トラブルの影響などから前期比195万トン減少したが、今期は設備修繕費を10%増加させるなどし、粗鋼生産量の回復を図る。
同社は、現時点で合理的な算定・予想を行うことができないとして、4月の決算発表時点で19年3月期予想の開示を見送っている。
インタビューは18日に行った。
18年3月期の粗鋼生産量は、設備トラブルから、前期比195万トン減少の4067万トンにとどまった。19年3月期の粗鋼生産については、17年3月期の4262万トン以上の水準に戻す計画。宮本副社長は「18年1―3月期は1050万トン作ることができた。4倍すれば4200万トンになる。当然、それ以上を狙うことができる」と述べた。
日本の建設や自動車などの需要は引き続き強い。中国も個人消費やインフラ整備などで需要が強いほか、過剰生産・安値での輸出増という状況にはなっていない。
19年3月期の経常利益は増益を見込んでいる。宮本副社長は、17年度下期の実力ベースは2700億円とし、生産量回復、マージンの改善、500億円のコスト削減がプラス要因、償却費や修繕費増加がマイナス要因になると指摘。トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト13人の経常利益予測の平均値は3510億円となっているが、こうした数字について「アナリストはよく見ており、そういうイメージになる」と述べた。
増益確保の要因のひとつとなる鋼材価格の値上げについては、前期に適正価格として1トン当たり5000円引き上げを目指していたが、2000円にとどまったため、残り3000円を実施していく。加えて、副原料や物流費、工事費、人件費などが上がっており、さらに2000―3000円の値上げは「当然、いかないといけない」とした。
米国による鉄鋼・アルミ製品への追加関税導入の影響については「それほど大きくない」と述べた。同社の出荷量のうち、米国向けは2%にすぎないうえ、レールや特殊なパイプが主で「90%以上の顧客が関税を払って購入を継続している」。また、米国に輸出できない分が還流して、市況に影響が出ることは懸念しているものの、「世界需要がそれなりに強いため、特に大きな問題になっていない。米国も輸入がないと賄えない構造にある」という。
一方、米国には710万トンの生産能力がある。輸入制限で米国の鋼材価格は上昇しており、「ホットコイルは900ドルを超えている。こういう価格が続けば、米事業の収益性は良くなる」と述べた。
同社は、鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタル
同社は中期計画の中で、18―20年度の3カ年で約6000億円の事業投資を行うとしていた。この中にエッサール買収も含まれており、「通常の業務から出るキャッシュフローでやっていけば、財務体質も悪化することなくやっていけると思っている」とした。
インド鉄鋼大手JSWスチール
(清水律子 大林優香)