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アングル:米減税で設備投資加速か、第1四半期はハイテクけん引

2018年05月19日(土)08時48分

 5月18日、トランプ米政権の大型減税措置を受け、米企業の設備投資は第1・四半期は約7年ぶりの大幅な伸びを示したが、年後半にかけて一段と加速する可能性がある。写真は2月、米ワシントン州のボーイング工場(2018年 ロイター/Jason Redmond)

[ニューヨーク 18日 ロイター] - トランプ米政権の大型減税措置を受け、米企業の設備投資は第1・四半期は約7年ぶりの大幅な伸びを示したが、年後半にかけて一段と加速する可能性がある。

S&Pダウ・ジョーンズ・インディセズのデータによると、S&P総合500種を構成する企業の94%の設備投資は第1・四半期は1590億ドルと、前年同期から約21%増加した。前年比での増加率としては2011年第3・四半期以来の大きさとなった。

S&Pダウジョーンズのシニアインデックスアナリスト、ハワード・シルバーブラット氏は、「今年は設備投資は拡大する」と予想。市場関係者の間では、実際に今年の設備投資が高水準になれば、来年に入っても企業売上高の伸びが支えられる可能性があるとの見方が出ている。投資の加速が販売増や運営の効率化につながれば、収益の成長サイクルが引き伸ばされる可能性もある。

チャールズ・シュワブ・インベストメントマネジメントの株式・マルチアセット戦略部門担当バイスプレジデント兼最高投資責任(CIO)、オマー・アギラー氏は「マクロ面、および地政学面で大きな変化がない限り、設備投資により(1株当たり利益の伸びは)押し上げられるとみている」と述べた。

トムソン・ロイターのデータによると、大型減税により今年はS&P総合500種構成銘柄の利益見通しがすでに大幅に押し上げられている。

一部企業の間では減税で浮いた資金を自社株買い戻しなどを通して株主に還元する動きがすでに出ている。USバンクウエルスマネジメント(ミネアポリス)のシニア株式ストラテジスト、テリー・サンドベン氏は、「潤沢な手元流動性を保有する企業は自社株を買い戻しているが、設備投資が次の推進力となる」と指摘。向こう数四半期で状況は一段と明らかになるとの見方を示した。

クレディ・スイスによると、第1・四半期はS&P総合500種構成企業の設備投資の増加分のうち、ハイテク産業が44%、エネルギー産業が16.6%、一般消費財産業が15.1%を占めた。

ハイテク部門ではグーグルを傘下に持つアルファベットが73億ドルと、前年同期の25億ドルから増加。同社としては少なくとも2004年以来の高水準となった。

アップルは42億ドルと、30億ドルから増加。アマゾン・ドット・コムは31億ドルと、21億ドルから増加した。

UBSの米国株式ストラテジスト、キース・パーカー氏は、「設備投資は利益の増加を受けて増加するものであるため、そもそも設備投資の増加の機は熟していた」と指摘。それでも、「(税制改革は)設備投資が押し上げられ、こうした状況が長続きする追加的な要因となった」としている。

(Caroline Valetkevitch記者)

*写真を加えました。

ロイター
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