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欧州市場サマリー(25日)

2018年04月26日(木)04時07分

[25日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。米国債利回りの上昇による企業のコスト増大が懸念され、世界的に株式相場が下落した。大規模な企業の合併・買収(M&A)の動きも相場押し上げにつながらなかった。

利回り上昇を受け大手米企業が借り入れコストの増大を指摘する中、市場では企業利益がピークを迎えたとの見方が浮上。米10年債利回りは3%に達し、これまで低金利で借り入れできていた企業にとって懸念事項となっている。また利回り上昇で、投資家が株式から国債へ資金を移す可能性も材料視された。

武田薬品工業の買収提案を受け入れるよう株主に推奨する意向を表明したアイルランドの製薬大手シャイアーはは2.8%下落した。武田は前日、シャイアーに対する5度目の買収提案で、提示額を640億ドルに引き上げた。武田薬品の株価がここ数カ月間で下げていることから、今回の買収提案が見劣りし、シャイアー株が売られた。

飲食店・ホテルチェーンを展開するウィットブレッドは0.2%下落した。国内最大手のコーヒーチェーン「コスタ・コーヒー」をスピンオフ(分離・独立)すると発表。物言う株主(アクティビスト)がウィットブレッドに求めていた動きだ。発表直後は株価が上がったものの、その後は反落して取引を終えた。

一方、英放送局スカイは3.9%上昇。米ケーブルテレビ最大手コムキャストがスカイに220億ポンド(307億ドル)での買収を提示したことが好感された。これを受けスカイは、既に合意している米娯楽・メディア大手21世紀フォックスによる買収案への支持を撤回した。

<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。米国債利回りが上昇したことで株式が投資対象として見劣りした。

米10年債利回りは24日、節目の3%をつけた。

金属の値下がりを受けSTOXX欧州600種資源株指数は1.79%低下。アルミニウムはこの日、5日続落した。

米重機メーカーのキャタピラーなど米大手企業は、利益がピークを迎えたことを示唆しており、投資家は慎重な姿勢を構えている。キャタピラーは、原材料費の増大で価格支配力が低下すると表明。トランプ米大統領による鉄鋼の輸入制限措置で重機産業の鉄鋼コストが3月までの四半期で約5%上昇したと指摘した。キャタピラーの動向を受け欧州株式市場でも同業銘柄が連れ安となった。

一方、フランスの高級ブランドグループ、ケリングは4.6%上昇した。取引時間中は過去最高値をつけた。傘下ブランドのグッチがけん引し、第1・四半期決算が好調だった。

クレディ・スイスは3.6%高だった。第1・四半期利益が市場予想を上回った。

欧州の半導体大手STマイクロエレクトロニクスは2.9%上昇。下半期のスマートフォン向け製品の需要について、楽観的な見通しを示した。

<ユーロ圏債券> 米10年債利回りが3%を超えて上昇を続ける中、ユーロ債利回りも小幅上昇。ただ、欧州中央銀行(ECB)理事会を26日に控えた警戒感から、大幅な債券売りにはなっていない。

指標の独10年債利回りは一時0.655%と、前日付けた6週間ぶりの高水準を試す場面もあったものの、その後は0.63%近辺で推移した。

他のユーロ圏債券利回りは0.5─1.5ベーシスポイント(bp)上昇。英10年債利回りは3月初旬以来の高水準をつけた。

米10年債利回りは前日、約4年ぶりに3%を突破し、この日も3%台で推移。ABNアムロのシニア債券ストラテジスト、フォウド・メハディ氏は「米10年債利回りの上昇継続が連鎖的な影響を及ぼす可能性はあるが、現時点では3%が最高の水準と考える」とし、ユーロ債市場は「ECBの量的緩和を巡るコミュニケーションに方向性を見出すことになる」と述べた。

26日のECB理事会では、見通しが大きく変更されることは見込まれていない。ただ、最近のユーロ圏経済指標の悪化を受け、金融市場が織り込むECBの初回利上げ時期が2019年初旬から6月に後ずれしていることもあり、JPモルガン・アセット・マネジメントの債券ポートフォリオマネジャー、シーマス・マック・ゴレイン氏は「注目材料は今年初旬のユーロ圏指標の悪化」と指摘。同時に「ECBがメッセージを変更するほどの明確な理由も存在しない」と述べた。

イタリア政局不安が解消されるとの期待から、同10年債は引き続きアウトパフォーム。大衆迎合主義(ポピュリズム)政党の五つ星運動が中道左派の民主党との連立協議に前向きな姿勢を示していることが材料視されている。

独10年債との利回り格差は一時112bpと、2年ぶりの水準に縮小。その後は114bp近辺で推移した。イタリア・スペイン10年債利回り格差も47bpと、1月以来の低水準に迫った。

ロイター
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